第18話  俺の故郷

「俺、名家のボンボンじゃないじゃん」


 俺は、ヴィスティンやサントスでの俺の扱いがとても好待遇だったから、自分でも名家の出身なのだと思い込んでいた。


「あなたの見事な銀髪に、皆が期待したのでしょう。

 あなたのお父様も利用しようしたくらいですからね」


 オルランドさんが白い鳥が運んで来た、油紙を俺に見せてくれた。

 小さな字でビッシリ書いてあった。

 俺には読めなかった。


「どうしますか?あなたの家は、リリエンハイムのロペス村です。

 今でも、お父様のリスディック・ロペス氏は健在です。

 お母様は、あなたを失ったショックで一年後に、病死なさってます。ご兄弟がいますね。リスティナという二歳上のお姉様が、お父様と二人で暮らしていらっしゃいす。会いたいですか?」


「行ってみたい!!」


「でも、あなたは、山育ちで、中央神殿とサントスの大神殿しか知らない世間知らずですから……おまけに、泣き虫……」


「オルランドさんが俺を泣かせたんだろ!!」


「次は 泣かないで下さいね」


 オルランドさんは、片目を閉じた。



 ▲△▲


「なんで俺が、お前の故郷への旅に俺が同行するんだ?」



「すまん!ニール。俺、お前しか友人て呼べる奴がいなくてな」


「しかもお前、名家のリッヒ家の子息じゃなくて、ただのライアン・ロペスだとか!?銀の森の一族とは全く関係なかったのかよ」


「俺の外見だけで、神殿の奴らがそう判断したんだよ」


 オルランドさんが、世慣れてない俺の旅の同伴者に選んだのは、サントスで俺の同室だったニール・ランドルだった。

 オルランドさんは、彼をヴィスティン郊外まで呼び出した。


 リリエンハイム公国 ロペス村__


 古来から、上質の土が採れたことから、陶芸が盛んな村だった。


「すごいな!!大地へ祝福がされてる~火の精霊も沢山いるぞ!!」


「ニール!?見えるのか?」


「これでも、銀の森の学び舎の魔法使い見習いだったんだぜ。でも二流しかなれない、治療師の方が、目が出るって予見師に言われて、サントスに行ったんだぜ」


「すげ~な~」


 村の中央の家が俺の生家だと聞いていた。

 俺たちは、真っすぐにそこを目指した。

 すれ違う人には、ビックリされた。

 外と交流の多い村ではないらしい。


 よく見れば、家の隣に神殿が建設されようと、準備が進めらていた。


 このタイミングで!!??


 家から出て来た、20歳位の娘さんと目が合った。


「ラーイ!?ライアンなの!?」


「はい。俺、ラーイです。お姉さんですか?」

「良く帰って来てくれたわ。待ってて!!父さんを呼んで来るわ」


 姉さんは家の中に消えた。

 それとともに、雨でもないのに俺の上から水が降って来て、俺はびしょ濡れになった。


(『?』)


「帰れ!!疫病神!!お前が見つかったせいで、この村は神殿に目を付けられた」


「神殿への寄進なんてしなくて良かったのに、これから、毎年神殿へ搾取されるようになるんだ!!」


 まだ少年たちのようだ。

 一人の子は、水の魔法がつかえるようだ。


「銀の森が山にあると思ってた奴らが言って良い台詞じゃないな!!神殿は、人を導くところだ。あって、当たり前だ。」


 俺が叫ぶと、


「ヴィスティンの神殿とサントスの神殿にいたと聞いたが、すっかり、神殿にかぶれておるな。それとも、その髪で良い思いでもして来たか?」


 父らしい。

 灰色の髪と瞳をした親父が出て来た。


「村ぐるみでお前の存在を隠蔽したことがバレて、高い罰金を払うことになった。その金で神殿は、この村に神殿を建立して村を見張る気だ。

 ここにはお前の居場所はない!!自由な生活を奪われた村人たちは、お前を許さないだろう!!何故、今になって現れたんだ!あの時に死んでいてくれれば良かったのに!」


 そう言われて、ショックを受けた。


「俺は、好きで銀髪に生まれたんじゃない。俺を先に利用したのは、あんただ。一言でも良いから、謝って欲しかっただけだ。望み通りにイリアス・エル・ロイルと繋がりが出来て良かったじゃないか!」


 俺は、そう言い放つと、ニールの手を引っ張って、村を出て行った。

 村を出てから、俺はずっとニールの胸で泣いていた。


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