第17話 俺の親
俺は、朝が来るまで泣いていた。
オルランドさんは、俺のケツに薬をぬってくれたり、精神安定の香草茶を持って来てくれたりして、少しは悪いことをしたと思ってるのだろうか……
俺はうつ伏せになって、香草茶をゴクリと飲んだ。
そして、大きなしゃくりを上げた。
その様子を見ていたオルランドさんは、大きく溜息をついていた。
「世慣れない御曹司に手を付けてしまったようですね……」
「う~~」
朝日が差してきて、カタンと音がした。
見ると、寝室の窓の所に一羽の白い鳥がいた。
オルランドさんが、白い鳥の所へ行って、足に括りつけてあった、油紙を抜き取った。
そして、しばらく真剣に読んでいた。
そして言ったんだ。
「あ~~!!」
って。
白い鳥が何の情報を運んで来たのか、俺も興味があった。
まさか、18歳の俺を愛人にしようとして、昨日俺のケツを掘ったことが、もう神殿にバレたとか……
それなら、俺はここからも逃げられるな。
いや、今度は当てが全然ないや……
「リーン、百面相は面白いですが、気味が悪いのでやめて下さいね」
俺は素直になれずに、プイと横を向いた。
「まだ、怒っているのですね!?少し、僕も急ぎ過ぎたかもしれませんね。謝罪します。
代わりと言っては何ですが、あなたの親のことが分かりましたよ」
「えっ!?早くない!?」
「ロペス村は捜してませんよ。ロイルの
「俺の親の話だろぅ?早くしてくれよ!!」
以下、オルランドさんの話を要約する。
俺は、ヴィスティンの属国のリリエンハイム公国の古代から陶芸の盛んなロペス村の村長の長男に生まれたらしい。
この家からは、二百五十年位前にロイル家の長になった先祖もいて、それが自慢だったそうだ。
そんな家へ、俺がたまたま銀髪で生まれて来た。
親父が野心家で、ロペス一族をエル・ロイル家の一族に入れてもらおうと企てた。
昔は知らんが、今は、エル・ロイル家を継いだ家族しか、名乗れない姓だそうだ。
ロイル姓は、1流所の魔法使いの意味で個人で名乗ってるものだしな。
そんな事も知らん親父は、銀の森へ連れて行こうと、3歳の俺を村から連れ出したんだ。
もっと無知なのは、イリアス・エル・ロイルの総本山【銀の森】が山にあると思ってたことだよ。
案内人もつけずにこっちにあるはずだと決めつけて、ディナーレ郊外の山に入って迷子になった。
幼子を連れては道を見つけるのも大変になって来たので、ここを動くなと俺に言って、俺と離れたんだ。
だが、道を見つけることは出来ずに、1か月後にヴァーレン郊外のティエリ山脈への入り口で、親父は発見される。(山の木の実や沢の水で生き残れたらしい)
(13歳の俺でも10日かからずに、ディナーレへ降りて来られたのに!?)
親が幼子を山に置き去りしたなんて、体裁が悪すぎるということで、俺のことは村でかん口令が引かれた。(存在していない事にされたのだ)
攫われたわけじゃなかったのか~俺は安堵した。
「ライアン・ロペス……というのが、あなたの本名です」
「なんで、そんな田舎の人がエル・ロイル家の長になれたの!?」
「その頃は、血族結婚が流行っていましたから……その代償でしょうね……長の家系が断絶したのです。神殿は大慌てで、家系図を引っ張り出してきて、一番血筋の薄い者を後継者にしたとか」
「じゃあ、俺、
「御先祖は同じですけど、似てませんね」
オルランドさんが笑った。
俺のケツの痛みも薄らいだ気がした。
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