第11話 オルランドさんの憂鬱
「ラインハルト・リッヒは無事にサントスに出発しましたか?」
「はい、大神官様。案内人と、護衛を付けてあります」
「ご苦労様です」
「いいえ、大神官様の言いつけですから」
オルランドは、深く溜息をついた。
「まだ、了承してませんよ」
オルランドは執務室の椅子に座って、年上の下っ端神官に上目遣いに言った。
「でも、あの少年をサントスに、預けることにしたのはあなたの独断だとか?これで、あなたはサントスに借りが出来たことになりますからね」
「わざと、降格処分になることをしてるのに」
オルランドは嘆く。
神殿では勝手な祝福などしてはいけない。
勝手に自分の身分を利用した、特権を使ってはいけない。という様々な厳しい規則があった。
オルランドは降格が目的で、わざとラインハルトの祝福をしたり、最高神官のメルクリッド様に手紙を書いて、はぐれ魔法使いのラインハルトを預かってくれと駄々をこねてたのだ。
ところが、これが善行だと取られた。
一人の若者を欲に眩んだ人間から助け、保護をして才能を見抜いて、学び所へ送り込んできたと。
中央神殿の大神官の座は、出来た当時から不在であったが、NO3として、オルランドはサントスからやって来た。
この功績が認められて、中央神殿トップの大神官に就くことになってしまったのだ。
自分よりも年上の神官を、ぶっちぎりに抜いて出世してしまう。
これは、オルランドの望むことではない。
出来れば、銀の森の大神殿にいる神官の1人で良かったのだ。
光の神殿に呼ばれた時に、運命が変わってしまった。
サントスに行っても、同じだった。
オルランドが、当たり前だと思ってやることは、善行と取られて腰紐の色は年々濃くなっていった。
……てことを、オリエ姉さん(こう呼ぶように指導あり)から後々、詳しく聞くことになる。
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