第5話 その頃のオルランドさん
その頃オルランドさんはというと、当時、30歳でヴァーレンの中央神殿へ出向していたらしい。
その時で、もう上から3番目の神官の地位にいたというから、どれだけ有能か分かるだろう。
神殿にやって来る人々の悩みを直に聞き、病気の人の所には出向いて行ったという。
他に、街中で他の神官に交じって伝道にも行っていた。
俺は知らなかったが、オルランドさんは中央神殿では有名人だったらしい。この世界の聖地、銀の森からサントスへ移動して来て、いきなりメルクリッド大賢者様付きの神官になって、大賢者様の世話をしてきた人だった。
オルランドさんの過去は聞いたことは無いが、後に噂好きの巫女たちの話では古王国アルテア出身で、銀の森の大神殿で幼い頃から神官になる修行をしていたらしい。
総本山の光の神殿に、引き抜かれた時に嫌がって、出奔の過去があるんだとか!!
その代わりに西域のサントス行きになったそうな。
朝早くダン親父の所から逃げ出した俺は、ディナーレの街で途方に暮れていた。
火の精霊が教えてくれたおぞましい事実。
火の精霊のヴァンクロフは、あの男娼屋(?)で魔法使いと別れているそうだ。
騙されて、あそこに連れてこさせられた魔法使いは、ケツを掘られたショックで、ヴァンクロフとの契約を無効にして、何処かに消えていったみたいだ。
ヴァンクロフは、精霊としては地位が高くないので、自分からその場を離れられなくなってしまった。
俺が力を引き出してやったことで、俺に着いて来るくらいの地位を獲得できたみたいだった。
「珍しい精霊をお持ちですね?」
「!?」
朝早く、ディナーレの街の真ん中で、俺に声をかけてきた人物がいた。
オルランドさんだった。
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