第3話  俺の魔法の力

 俺は、ヴィスティンの中央神殿で、一人の中間職の神官が後見人になってくれて、ディナーレでの市民権を得た。


 この神官に挨拶に行くと、


「自分の出世のためだよ。身寄りのない子の後見をしてやることは、社会にも神殿にも貢献できるんだ。礼を言われるほどのことはしてないよ」


 と言われてしまった。


 俺は、読み書きも出来なかったので、この神殿では特別な待遇を受けていたらしい。

 神殿側は、俺の身元を特定出来なかったのが、余程、悔しかったのか俺のいた二年の間に、何度かエライ神官さんの怒号が、俺の部屋まで聞こえてきた。


 魔法使い?という者が存在しているとか?

 銀の森(この世界では聖地らしい)から、魔法使いを借りて探したそうだ……

 でも、分からなかったらしい。


 俺は、15歳という事もあって、街の織物問屋に住み込みで働くことになった。

 初めは下働きで、ゆくゆくは織物工房を一つ任せてくれるという約束だった。


 織物問屋の親父は、チョビ髭を生やした茶髪の中年の男で、ダンといった。


 俺は少ない荷物を持って、神殿を出てダン親父の用意してくれた宿舎に入った。

 なかなか豪華なところだった。


 みんな俺の外見で、何かの恩恵でもあると思っているのか!?

 チラッと神殿で聞いたところでは、銀髪は珍しくて神の系譜を引いているとか、いないとか……?


 俺は新しい部屋の鏡を見た。

 15歳の俺がそこにいた。

 二年前よりは確実に成長していた。

 声も変わっていた。

 髪も伸ばしたわけではないが、肩まで伸びていた。


 そこに部屋の扉が開いた。


「ラインハルト、どうだ?この部屋は。気に入ったか?」


「はい、ありがとうございます。ダン親父さん。感謝します」


「では、そろそろ……良いな?」


「何のことでしょう?」


 途端に親父の顔が、曇った。


「お前は、俺のモノになりに来たのだろう?」


「はい!?」


 俺は何を言われているのだろう!?

 ダン親父は、俺をベッドに押し倒して、着ていたものを脱がしにかかって来た。


 何が起こっているか分からなくて、混乱する俺!

 その時、何処からか声が聞こえて来た。


 <助けてやるよ>


「早くしてくれ!!」


 俺の叫び声と共に、俺とダン親父の間に火柱がたった。  

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