第2話 俺のことを話そう
最初に書いたとおり、俺の名前はラインハルト・リッヒ
リーンというのは、オルランドさんが俺に付けた愛称だ。
銀髪に、灰色の瞳をしている。
幼い頃にどこかから誘拐されたらしい。
犯人は、お金を奪えたどうか知らんが、山の中で三歳くらいの俺を置き去りにしやがった。
運良く炭焼きのじいさんに、助けられて生き延びたんだが、このじいさんが偏屈で、外界との接触を激しく嫌うじいさんだったんだ。
流石に三歳の幼子を山の中においては帰れなかったらしいが、保護をしただけだ。
親探しをしてくれた訳でも無く、自分の食い扶持は自分で稼げと、朝暗いうちから、夜遅くまで炭火を焼く釜の番をさせられた。
そこから10年間、俺が知恵をつけてそこを逃げ出すまで、そんな生活が続いたな。
山を下りた俺は、初めて触れた文明という人の作り出した物に感動したね。
大きな家がいたるところにあって、中でも一番目新しいのは神殿というらしい。
街行く人が、小汚い俺を憐れむように見て、神殿へ保護を願い出ることを勧めてくれた。
ここはヴィスティン共和国の首都で、ディナーレだという。
街の中央に大きな、神殿が建っていた。
聖なる光の神を祀っているという。
俺は、街で声をかけられたおじさんに言われた通りに、神殿へ迷子の保護を求める受け付けをした。
湯あみをさせてもらって、神官服を着せてもらった。
この時、俺は初めて鏡なるものを見たのだが、俺の髪は銀色で瞳の色は灰色だったんだ。と、思った。
神官さん達は思う所があったらしく、かなり真剣に俺の身元を調べてくれたな。
ラインハルトの名前も、実は神官さんが付けてくれたんだ。
俺は、ラーイと呼ばれていた事しか覚えていなかったから。
どうやら、神官さん達は俺の銀髪を見て、どこぞの名家の子息と思い込んだようだ。
そして、名家の子息に仕立てるべく、教育もしてくれた。
俺は字すら読めなかったんだ。
ところが、二年経っても該当する家は無く、15歳になっていた俺は神官になるか、ヴィスティンで市民権を得て、働いて独立するかを迫られることになったんだ。
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