誘拐 4

「ふぅー」


 鎖は三重詠唱にしておいたから、まず解けないだろう。


「じゃあ、今の内に」

「えいっ!」

 そうして魔力を入れていくと、もとの人の姿に戻ってきた。


「鎖を凍らしたから、人の姿だと凍傷でえらいことになるかもね」


「おいっ!ここから出せ」 


 ラインハルト殿下の声だ。


「えっ?」

「あっ!!」


 そういえば、殿下達の周りも結界で覆ってたんだった。二重に張ってたの忘れてた。


《解除(リリース)》


「もう大丈夫ですよ」

「おケガなどはありませんか?」


「あぁ、ないぞ」

「な、ないです。ありがとうございました」

「な、ないよ!助けてくれてありがとう!もうちょっとで殺されるところだったよ」

「・・・」


 全員、顔面蒼白だ。

 あっそういえば、まだ目の前に頭が転がっている状態だった。そりゃ怖いわ。

 平気そうにしているけど、私も意識し出したらめっちゃ怖くなってきた。これから先、トラウマにならないといいけど・・・(私含めて)


「魔法で探りましたが、もう敵はいないようです。外へ出てみますか?」


「あぁ」

「ところでお前は誰なんだ?貴族のようだが」


「先程は、見苦しいものをお見せしてしまい申し訳ありませんでした。アルビナス侯爵家が長女フレイヤ・アルビナス・アンジェリカでございます。以後、お見知り置きを」


 そう言って少し汚れのついたドレスでお辞儀カーテンシーを行う。


「気にするな。そなたは命の恩人だからな!私はラインハルト・アリステリア・リーズ、アリステリア王国の王太子だ。女は身分だけですり寄って来るから嫌いだったが、このような勇敢な令嬢もいるのだな」


「じゃあ僕も言うね!ベリアル皇国第一皇子のルビウス・ベリアル・パールだよ!そして、ほらっ、ルーも」


「・・・ベリアル皇国王太子ルーヴェンス・ベリアル・リーゲル」


「ごめんね!ルー、人見知りで・・・。でも、いい子なんだよ!」


「いえ、気にしておりません」


「えっ?、えっ?あっ!私はルーナ・シルバ・シャーリでふっ!」


 ルーナが凄く混乱している。まぁ、貴族に養子入りしたとは言え、最近まで平民だったのだ。一緒に捕まったのが自国と他国の王族・・・


 怖すぎる。


「取り敢えず、外出ましょうか」


「あの捕まえた男はどうするのだ?」


「あとで引き渡しましょう」

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