誘拐 1
「大丈夫ですか?起きてください」
「んっ、・・・」
「えっ?」
「おいっ!俺を誰だと思っている!早くここからださんかっ!!」
「何でこんなことに・・・」
「・・・」
薄暗い場所に、鉄格子、泣く子供。
私は今、閉じ込められているようだ。
何があったか思い出してみよう・・・
***
遡ること数時間前。
教会から帰る馬車の中
「フレイヤ、凄いじゃないか魔女だなんて!」
「そうね、あなたは私達の誇りよ」
「ありがとう!」
「まぁ、お前は昔からとても優秀だったから納得といえば納得だがな」
そんな会話をしていると・・・
「お父様、私・・・なんだか眠く・・なって・・」
「あら、私も・・・」
「何、だ・・これは・・・」
そこで私達の意識は途絶えたのである。
***
見たところここは牢屋のようだ。だが、子供だからか手は拘束されていない。
捕まっているのは私を含めて5人。しかも3人はこの国の王太子で勇者のラインハルト、それにベリアル皇国の皇子で魔王のルーヴェンスとその双子の兄のルビウスまでいる。
今日は各国の王族、高位貴族が洗礼だったため、私みたいに捕まったのかもしれない。
でも一人知らない子がいる。もし貴族なら知らない訳けがないんだけど・・・
でも可愛い子だな。髪はクリーム色で瞳は桃色、まるでヒロイン・・・、ってこの魔女、勇者、魔王が揃った状況なら!
「あ、あなたお名前は?」
「えっ?、えっとルーナ・リル・・・じゃなくて」
「ルーナ・シルバ・シャーリです!」
「可愛いっ!」
「えっ?」
「何でもありませんわ」
ヤバい想像の100倍可愛い、ゲームには声がなかったから今まで想像するしかなかったけど、実際に聞いてみると、とにかく甘い甘すぎる!まるで砂糖菓子のよう!そりゃみんな惚れるよ
「どうかされました?」
「いっ、いえっ!ところであなたは何故誘拐されたのかしら?」
「えっと私、昔から傷を治す力みたいなのがあって、それで聖女かもということで先日シルバ候爵家に養子に入って、それで今日洗礼に行った帰り、馬車に乗っていたら急に眠くなっちゃって・・・。気づいたらここにいました」
「なるほど、私も同じですわ」
「あなた方もそうでしょうか?」
いつの間にか近くにいた3人に聞いてみる
「あぁ」
「そうだよ!」
「・・・・」
すると2人組の男がやってきて・・・
「うるせぇぞっ!!何喋ってやがる!」
「1、2、3、4、・・・5?一人多くねぇか?」
「すみません、魔王が双子でどっちか分かんなかったんで両方さらいました」
「馬鹿野郎!そんなの魔力の量見りゃあすぐ分かるだろうが!!荷物を増やすな!」
「ちっ、お前はもういらない」
剣に手をかけたかと思うと
「えっ?どうい」
ザシュッ
ゴトン
ゴロゴロゴロ
男は、頭と胴が泣き別れとなった。
「い、いやああああァァァァ!!」
ルーナが叫ぶ。
「ひいぃっ!!」
ラインハルトが退く。
「な、何でこんなことを」
ルビウスが呟く。
「おっと、他人ごとみたいに言ってるが次はお前の番だぜ。っとお!」
ルビウスが首を持ち上げられる。
「兄様!!」
「必要なのはニ聖ニ魔だけだからな。悪く思うなよ!」
私は、
「アリス!」
「貫け」
《三又の槍トライデント》
理不尽を、ゆるさない。
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