第197話 新店舗の相談


「う~ん、新しい店舗か。とりあえず通路がとても広いといいよね。今の店だと人がすれ違うだけでも結構大変だからさ」


「そうですね、私もランジェさんと同じでそう思います。それに新しい店舗ではテントや寝袋のように大きな商品も扱うことになるんですね? でしたら通路は広めにしておいた方がいいと思います」


「確かにそうだな。さすがアンジュだ!」


「ふむふむ、なるほど。参考になるよ」


 本日の営業も無事に終わり、閉店作業と明日の準備作業を終えて、ようかんとゼリー飲料をつまみながら、新しい店舗のことについて従業員のみんなに相談をしている。


 グレゴさんの工房へ行って話をしたところ、グレゴ工房でも新規店舗の建築を行っていたので、うちの新規店舗の建築をお願いした。どのような店にするかについてはどこにどれくらいの大きさの土地を購入するかが決まってからになるが、今のうちにみんなの意見を聞いている。


 実際にこの店で働いてくれているみんなの意見はとても参考になるな。


「あとは商品によってだが、自分達で試せるようなスペースがあると良いな。この店の商品は組み立て方が特殊な物も多いからな」


「よくローテーブルの組み立て方を聞かれたりするです」


「俺もそれは考えていたよ。グレゴさんに頼んで作ってもらっているテントは今までのテントと組み立て方がだいぶ違うからね」


 リリアとフィアちゃんの言う通り、うちの店で扱っている商品は特殊な使い方をするものが多いから、実際に組み立てることができるスペースを作る予定だ。


 最近のアウトドアショップには実際に商品であるテントやチェアなんかが設置してあるスペースがあったりする。やはりテントとかは結構な値段がするから、実際に組み立ててある実物を見てから判断したい気持ちはあるだろう。


 本当はファイヤースターターなんかも簡単に火を起こせることを体験してほしいところだけれど、さすがに火は危ないからなしだ。


「店を移転する土地にもよるけれど、庭か店の奥のスペースに実際に組み立ててあるテントやチェア、テーブルや寝袋やマットなんかを試せるようにしておくつもりなんだ」


「それは良いアイディアだね。確かにここの商品はどれも素晴らしいけれど、実際にどんな商品なのかを実際に見られる方がお客さんももっと買ってくれると思うよ」


「ああ、少し使い方が難しい商品もあったりするからな」


 ランジェさんやドルファも賛成してくれる。やはり現冒険者と元冒険者の2人から見ても、使い方の難しい商品があって、それを実際に試すことができる方がいいと思えるようだ。


「それと商品を取るための脚立もあった方がいいかもです」


「あっ、確かにそうだな。ドワーフのお客さん達はいつも大変そうにしているもんね。さすがに今の店で脚立を置くのはスペース的には難しそうだけれど、広い店になるなら置いた方が良さそうだ」


 店が大きくなれば当然商品棚も大きくなりそうだし、今まで以上に上の方に商品を置くことも多くなる。この世界ではドワーフみたいな背が低い種族もいることだし、自分で商品を取れる脚立なんかがあった方が便利だ。


 フィアちゃんもまだ背はそこまで高くないから、これまでに苦労していたのかもしれない。やはり自分以外の意見はいろいろと参考になることが多い。


「あとは従業員や護衛も少し増やした方が良いかもしれませんね」


「そうだね。店も大きくなることだし、従業員は増やそうと思っているよ。護衛の方はやっぱりもう1人くらいいた方がいいかな?」


 アンジュの言う通り、店が大きくなることだし、従業員はあと1~2人増やそうと思っていたところだ。


 ただ、この店には元Bランク冒険者のリリアや元Cランク冒険者のドルファ、そして半分くらいは現役のBランク冒険者のランジェさんがいるから、戦力的にはもう十分だと思っていた。


「私とドルファ、それにたまにランジェがいてくれるから大丈夫だと思うぞ」


「ああ。この店やアンジュは俺が守るぞ!」


「う~ん、この街なら大丈夫だと思うけれど、誰かが体調を崩したりする可能性もあるし、もう1人くらいいてもいいかもしれないね」


 ランジェさんの言うように、この街は駆け出し冒険者達が集まって来る街だから、そこまで強いお客さんはほとんど来ない。そのため、これまでもそこまで大きなトラブルも起きず、起きたとしてもみんなが一瞬で収めてくれた。


 しかし、店の規模も大きくなることだし、誰かが長期間休む可能性もあることを考えると、もう1人くらい護衛のできる従業員がいてもいいかもしれない。


「そうだね。どうせ従業員を雇うことだし、1人は護衛もできる従業員を雇うようにしよう。もちろんみんなの力はとても信用しているけれど、店が大きくなる分みんなの負担が増えちゃうからね」


「……まあ、護衛のできる従業員が多いほど店やアンジュは安全になるか」


「う~ん、テツヤがそう言うなら、増やした方がいいかもしれないな」


 ドルファもリリアも賛同してくれたようだ。


 それにしても本当にドルファはシスコンすぎるよな……ドルファはイケメンだから、かなり女性のお客さんに人気があって、お誘いを受けることが多いけれど全部断っていた。


 ランジェさんはむしろ自分から女性のお客さんに声を掛けている。まあ、今のところは女性関係のトラブルを店に持ち込んだことはないから、注意するつもりはないけれどね。


 ちなみに俺にはあからさまなお金目当ての女性客が声を掛けてきたくらいだ。解せぬ……



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いつも拙作をお読みいただき誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾


先日より新作を投稿しました!

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『チートスキル【開拓者】で追放された不毛の大地から始める自由生活〜異世界に存在しない作物を育てて開拓をしていたら最高最強の街になっていた件!〜』


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