第192話 新しい店舗の要望

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 ブライモンさんとマドレットさんにこちらの事情を話した。そろそろ商品を置ける場所に限界が来ていて、お客さんも待たせてしまうし、店内でお客さんがだいぶ窮屈になってきたことを2人に説明する。


「ほう、新しい店舗に店を移すのか!」


「あらあら、それはとてもすごいですね。でも、テツヤさんやリリアさんが引っ越しちゃうのは残念です……」


「そう言っていただけけて、とても嬉しいです。引っ越すと言っても、この街から離れるつもりはありませんから」


 あくまでも俺はこの駆け出し冒険者が集まるこの街で商売をしたいわけだからな。アレフレアの街から離れた店を持つ気はない。支店という手段もありだが、少なくとも今は他の街には冒険者ギルドに卸せればそれでいいだろう。


「そんなわけで、不動産に詳しいお2人に新しい物件を選ぶ手伝いをしていただきたいと思っております。もちろん仕事としての依頼になりますね」


 この店舗を選んだときはこのアレフレアの街の不動産屋をリリアと一緒に回って物件を10件以上見たが、今回は賃貸だけでなく、土地と物件を購入することも考えているので、本職であるお2人の力を借りたいと考えたわけだ。


 お隣さんでお付き合いのあるお2人だが、公私の区別は付けなければいけないので、当然正規の仲介料は払うつもりだ。……ただまあ、お隣さんのよしみで、普通のお客さんよりも熱心に探してくれるかな、という打算もなくはない。


「ああ、そういうことなら任せておいてくれ! テツヤさんの気に入るような店を探して見せるぞ!」


「ええ。そういうことでしたら、私たちに任せてください」


「ありがとうございます、よろしくお願いします」


「すまないが、よろしく頼む」


 無事に引き受けてくれそうでなによりだ。


「ふむ、そうなると別の不動産にも協力を頼むとするか」


「そうですね。テツヤさんが新しい店舗を探すようでしたら、どこの不動産も協力してくれますよ」


「ふむ、不動産同士でのつながりもあるのだな」


「ああ。基本的には自分の紹介している店での物件を売ったり貸し出したりする方が仲介料はもらえるが、大きな物件となると数自体が限られてくるんだよ。仲介料自体は同じで、他の不動産からうちの店にも多少の仲介料はもらえるし、より良い物件を探すならそちらの方が良いと思うぞ。まあその分多少の時間は掛かってしまうが、今すぐに引っ越したいというわけでもないのだろう?」


「ええ、そこまで急ぎではないです。それではそちらでよろしくお願いします」


 どうやらこの街で大きな物件となると、物件の数自体がそこまでないようだ。そして不動産同士でも物件を紹介しあったりするらしい。


 仲介料は変わらないみたいだし、より多くの物件を見ることができるのならこちらも助かる。


 その辺りについては本職の不動産屋の人の方が詳しいし、やはり相談して正解だったようだ。


「それで、テツヤさんたちはどんな物件を希望しているんだ?」


「そうですね、店舗は賃貸と購入両方で考えていて、多少この街の中心地や冒険者ギルドから離れていても大丈夫ですが、その分店は今の倍くらいの広さはほしいです」


「ふむふむ、なるほど」


 ブライモンさんが俺の要望をメモっていく。基本的には今の店の条件と同じ感じだ。このアレフレアの街は中心へ行けば行くほど高級な店があったり、冒険者ギルドや商業ギルドなどの主要な施設が集中している。


 当然中心へ近付けば近付くほど家賃の方がお高くなるわけだが。ありがたいことに、この街でのこの店の知名度はかなり高くなったので、多少中心地から離れていてもお客さんは来てくれるはずだ。


 もちろん可能なら冒険者たちがよく利用する冒険者ギルドや森から一番近い街の入り口に店を出したいところだが、それよりもより多くの商品が置けて、店舗の家賃分商品をより安くできた方がお客さんにとっても良いだろう。


 うちのお店のメインターゲットは駆け出し冒険者なわけだし、より良い商品をより安くという方針だな。


「あとは俺が住める居住スペースもあるとなお良いですね。これについては最悪別々でも大丈夫です」


 理想を言えば今の店のように2階に居住スペースがあれば最高なのだが、大きな店の店舗数は限られているようだし、最悪の場合は自宅からお店に通う感じでも大丈夫だ。


 これについては可能な限り住居付きの方がいい。仕事が終わったらすぐに自宅へ帰れるんだぞ! それに朝はギリギリまで寝ていられるし、こんな素晴らしいことはないと断言できる!


 まあ、そんなことを言っていたら、元の世界で通勤時間が1時間以上かかる人に怒られてしまうかもしれないがな。


「……えっと、今までと同じで、リリアも護衛として一緒に暮らすってことでいいんだよね?」


「ああ、当然だ。も、もちろんテツヤが嫌でなければだが……」


「もちろん嫌なわけないよ。それじゃあ、居住スペースは2人分でよろしくお願いします」


「あらあら、まあまあ!」


「ふむ、こいつはご馳走さま」


「「………………」」


 今さらながら恥ずかしいやり取りだと自覚する。それはリリアも同じようで、少し顔を赤くしていた。

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