第181話 参加者
「……なんかすごい面子ばかりなんだけれど、本当に俺達も参加してよかったのか?」
「ああ、ギルドマスターや副ギルドマスターはともかく、Bランク冒険者のランジェさんやAランク冒険者までいるとは……」
「まあ基本はうちのお店の従業員や俺がお世話になっている人たちだから、あんまり気にする必要はないぞ。食材をたくさんもらったから、みんなで一緒に楽しく食べようって会だから、そんなに気を遣う必要はないからな」
先日Dランク冒険者へ昇級したロイヤ達も3人で来てくれた。ロイヤ達が知らない面子だと、ベルナさんとフェリーさん、フィアちゃんの母親であるレーアさんと鍛冶屋のグレゴさんあたりかな。
「な、なんで王都でも有名なAランク冒険者の灼熱帝のベルナ様と蒼翠嵐のフェリー様がいるのよ!? テ、テツヤ、どこであのお2人とお知り合いになったの?」
「リリアが王都にいたころ、一時期一緒にパーティを組んでいたことがあったらしいんだ。最初はそれで知り合って、今は王都や他の街へうちの店の商品を輸送する手伝いをしてもらっているんだよ。ニコレもあの2人を知っているんだな?」
「当たり前よ! 若くして王都でもその名を馳せた女性のAランク冒険者よ! 数少ない女性のAランク冒険者の中でもベルナ様は男にもまったく引けを取らない剣技を持っていて、フェリー様は王都の魔法学園を首席で卒業しているの。この辺りの女性冒険者はみんなあのお2人に憧れているわ!」
「な、なるほど……」
2人を様付けしているみたいだし、どうやらニコレはだいぶ2人を尊敬しているみたいだ。確かに女性の冒険者自体が少ないらしいし、同じ女性でAランク冒険者の2人に憧れている人はとても多そうだな。
「テツヤさん、そちらのお方は……?」
「俺の友人の冒険者です。実はこの街へやってきた時にこの3人には命を救われたんですよ。それ以降もお店の商品にアドバイスをくれたり、一緒に食事をしたりする友人なんです」
「テツヤさんの命の恩人なんですね! 初めまして、ベルナと申しますわ。本日はよろしくお願いしますね!」
「……フェリー。よろしく」
「は、初めまして! ロイヤといいます!」
「フ、ファルです! 有名なAランク冒険者のおふたりにお会いできて光栄です!」
ロイヤもファルもだいぶ緊張した様子だ。やはり同じ冒険者として、Aランク冒険者というものには特別なものがあるのだろう。
それかベルナさんはとても美人で、フェリーさんはとても可愛らしいから緊張しているだけなのかもしれないが。
「ニ、ニコレと申します! ベ、ベルナ様とフェリー様にお会いできて光栄です!」
いつもは陽気なニコレがここまで緊張しているとは珍しい。よっぽど2人を尊敬しているんだろうな。
「2人はニコレの憧れの人らしいから、仲良くしてくれると嬉しいな」
「ちょ、ちょっとテツヤ!」
「まあ、こちらこそ光栄ですわ。よろしくお願いしますね、ニコレさん」
「……よろしく、ニコレ」
「ひゃ、ひゃい!!」
まだニコレの方はガチガチに緊張しているようだ。そしてどうやらニコレにとってフェリーさんは可愛いというよりも憧れの対象の方が強いらしい。
……フィアちゃんの時みたいにおかしなスイッチが入らなくてよかったぞ。さすがにあの状態のニコレだとフェリーさんにはちょっと荷が重そうだもんな。
フェリーさんの方は人見知りであるが、ニコレに尊敬されて少し嬉しそうにしている。みんなうまくやっていけそうで何よりだ。
「テツヤ、今日は誘ってくれて感謝するぞ」
「グレゴさん、こちらこそ来ていただいて嬉しいです」
保存パックを作るのに協力してくれているドワーフのグレゴさんも来てくれたようだ。
「いろいろと用意してあるので、ぜひ楽しんでいってくださいね」
「うむ、楽しみにしておるぞ。こいつは儂のお気に入りの酒じゃ。ちと酒精が強いから、気を付けて飲むようにしてくれ」
「ありがとうございます。みんなでいただきますね」
ドワーフであるグレゴさんおすすめのお酒か。どんな味がするのか楽しみだ。
「テツヤお兄ちゃん、今日はお誘いいただいてありがとうございます!」
「いらっしゃい、アルベラちゃん。今日は楽しんでいってね」
ここまでのみんなの護衛をお願いしていたランジェさんにドルファとアンジュ、フィアちゃんとレーアさん、そして宿屋のアルベラちゃんもちょうど来てくれたようだ。
おっちゃんと女将さんも誘ったのだが、さすがに宿屋の仕事を休むことはできなかったらしい。アルベラちゃんだけはなんとか参加できそうだったので、ここまでランジェさんやドルファに頼んで送ってきてもらった。
よし、これで参加者全員が揃ったな。早速乾杯をするとしよう。
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