第166話 2週間後
「こちらは王都のお土産です。あとこっちの方はルハイルさんからもらったレッドバジリスクの肉を燻製にしたものとなります」
「ほお、レッドバジリスクの燻製肉だと! こいつは珍しいものを! ルハイルのやつ、分かっているじゃねえか!」
王都で購入してきたお菓子とルハイルさんからもらったレッドバジリスクを燻製にしたものを2人に渡す。
「私にもこれほどいただいてもよろしいのでしょうか?」
「はい、もちろんですよ。パトリスさんには日ごろ本当にお世話になっていますから。ルハイルさんからレッドバジリスクはみんなで食べてくれとも言われているので」
「それはとても嬉しいです。本当にありがとうございます!」
ギルドマスターのライザックさんだけでなく、副ギルドマスターのパトリスさんにはいつもお世話になっている。こういう時にコツコツとお返しをしていかないとな。
「先ほど少し食べたが、とてもおいしかったぞ」
「ええ、やっぱりテツヤさんの料理は本当においしかったですわ!」
「野営をしながらあれだけおいしいご飯が食べられるとは思わなかった」
……さすがに3人同時に褒められると、俺も照れてしまう。特に燻製は俺の手柄ではなく、スモークウッドやスモークチップ、それに下味をつけたアウトドアスパイスのおかげだからな。
「それと、もうしばらくするとまたアウトドアショップのレベルが上がりそうなので、その際はまた伝えますね」
この場にいるみんなと従業員のみんなはすでに俺のアウトドアショップの能力のことは知っている。どんな商品が購入できるようになるのかはまだ分からないが、とりあえずその時は2人にもいろいろと相談させてもらうとしよう。
「おお、そりゃよかったじゃねえか。また新しい便利な商品が増えるってことだな!」
「それはとても素晴らしいです! ですが例の地図や図鑑のようなとんでもないものが出てきそうで少し怖くもありますね……」
「ええ、そうなんですよね……」
アウトドアショップの能力がレベルアップすることはとても素晴らしいことだが、例の地図や図鑑のように目を付けられてしまうようなとんでもない代物が出てこないか、少しだけ不安な気もする……
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
王都からアレフレアの街に戻ってきてから2週間が過ぎた。10日ぶりに店を開いた際は、思っていた以上に多くのお客さんが来てくれて嬉しかったな。
ロイヤに二コレとファル、そしてご近所さんたちに王都のお土産を持って行ったところ、とても喜ばれた。やはりこの街に住んでいる人たちにとって王都は憧れの場所らしい。……確かに物価も高いし、そう気軽に行くことはできないもんな。
ベルナさんとフェリーさんは俺たちの護衛を終えて、それぞれの街へ卸す商品を収納魔法で収納して王都へと帰っていった。今後も引き続き1~2か月ごとにお世話になる予定だ。
「……よし、いよいよ次でレベルが上がるぞ」
アウトドアショップの能力のウインドウに表示されている【アウトドアショップLV4 次のレベルまで金貨0.7枚】の表示。LV4からLV5まで上げるためには金貨5000枚分をアウトドアショップの能力で購入する必要があった。
本当に長い道のりだったよ……他の街や冒険者ギルドに商品を卸していかなければ、まだまだ時間がかかっていたところだった。LV3からLV4に上げる時の十倍だもんな。
というか、次のレベルアップまで金貨5万枚とか言い出さないよね……今のところはレベルを上げるごとに次のレベルアップまでに必要な金額は10倍になっていたから、可能性は十分にあるんだよなあ。
「いよいよだな! 次はどんな商品が買えるようになるのか、すごく楽しみだぞ」
「今までの商品も信じられない道具ばかりだったからね。僕も楽しみだよ」
今日の仕事はすでに終えて、明日と明後日はお店の定休日の日だ。今は2階でリリアとランジェさんに集まってもらっている。
ちなみにリリアとの関係はまだあれから進んでいない。
……いや、違うんだ。リリアとの関係を進めたいと思ってはいるんだけれど、ここしばらくずっと一緒にいたから、なかなか距離感が難しいんだよ。
一応先週の休みは勇気を出して遊びに出掛けないかと誘ったのだが、護衛としてついていくと言われてしまった……
確かにこれまでずっと買い物に行ったり、どこかに出掛ける時はだいたい護衛としてついてきてくれていたからな。元の世界で女性と付き合った経験なんてないし、護衛としてではなくひとりの女性として遊びに行こうなんて格好良いことを言えるわけがない……
とりあえずリリアのことについては引き続き考えるとして、今はアウトドアショップの能力についてだ。俺は銀貨7枚で購入できる防水リュックを購入した。
『アウトドアショップのレベルが5に上がりました。購入できる商品が増えます』
前回アウトドアショップの能力がレベルアップした時と同様にウインドウにレベルアップの文字が表示された。
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