第167話 レベル5
「よし、無事にレベルアップが完了したみたいだ。……どうやらこのアウトドアショップの能力はレベル5が最高らしいな。これまでにあった次のレベルまで金貨何枚という表示はなくなっている」
今までは常にウインドウの端に次のレベルアップまで、残り金貨○枚という表示があったのだが、今は表示されなくなった。恐らくだが、このレベル5より上はない可能性が高い。
これまでの経験上次のレベルアップまでに必要な金額は十倍ずつになっていたから、そのルールだと金貨5万枚の商品を購入する必要がある。元の世界だと単純計算で5億円相当になるから、かなり時間がかかってしまうところだった。
王都で商売をすればその時間は短縮できるかもしれないが、その分目を付けられる可能性も上がっていただろう。とりあえずレベル5が上限で助かったとも言える。
「それでテツヤ、どんな商品が増えているのだ!」
「ラーメンやカレーみたいに、なにかおいしそうなものはあるの?」
「ええ~と、ちょっと待ってね……うわっ、ものすごい量の商品が増えてる!?」
ざっと見ただけだが、これまでにはなかったかなりの量の商品が新たに購入できるようになっていた。
これはすごいな、たぶん元の世界のアウトドアショップで購入できる商品はすべて購入できるようになったんじゃないのか? うわ、こんなものまで購入できるのか。あっ、こんな高価な商品まで購入できるようになったのはでかい!
「……今まで購入できた商品も新しい種類がたくさん増えているな。それにサイズなんかも新しいものが増えているみたいだ」
今まででもアウトドアショップの能力でテントやシュラフ(寝袋)を購入することはできたが、その種類は1種類しかなかった。しかし、今ではテントだけでも10種類以上あるし、シュラフなんかはサイズをSMLから選ぶことができ、さらに様々な適正温度のものを選択できるようになっていた。
シュラフの場合は外気温によって適正なシュラフがある。本当に寒い雪山なんかで使用できる外気温がマイナス数十度でも使用できるものから、夏用の薄くて持ち運びやすいようなシュラフに分かれている。
特にこの異世界だと獣人や人族なんかの種族によっても必要なシュラフの種類は全然違うはずだから、複数の種類の中から選べるのはとても便利だ。
「おお、それは便利だな。防水リュックなどは別のサイズがないか、お客様からたまに聞かれていたものな」
「うん、確かにサイズを選べるほうがありがたいよね」
「食べ物関係もいろいろと増えているな。カテゴリーにも分かれているし、これはメモを取らないと覚えられそうにないぞ」
今までアウトドアショップの能力の商品はすべて一覧になっていたが、今ではカテゴリー別に分かれている。これだけ商品が増えると、目的のものを探すだけでも一苦労だな。
ノートか何かにアウトドアショップの能力で購入できる商品をまとめておくとしよう。
「……今のところ地図や図鑑みたいにとんでもないものはなさそうだけれど、その辺りは詳しく見てみないと分からないかな」
一見すると地図や図鑑も普通の商品に見えて、中身は異世界仕様だった。新しく増えた商品の中でもなにかとんでもない性能を持った商品があったとしてもおかしくはない。
こればかりは商品をひとつずつ精査してみるしかないか。
「とりあえず商品が多すぎるから、明日と明後日でじっくり見てみるかな。それじゃあ、晩ご飯はいろいろと増えた商品の味を試してみようか」
「おお、それは楽しみだな」
「やったね! それを待っていたんだよ!」
今回のレベルアップによりカレー以外のレトルト食品やフリーズドライの商品なんかがいろいろと増えている。最近のアウトドアショップにもいろいろな食品が売っているのは知っていたが、これだけの種類が出ていたとは驚きだ。
味見と一緒にリリアとランジェさんと一緒に味を見てみるとしよう。
「お待たせ。他にもいろいろと種類があるけれど、まずはレトルトカレーと一緒のレトルトシリーズを試してみよう」
「そんなに種類があるのだな。それにどれも見た目が全然違うぞ」
「うん、どれもとってもいい香りだね!」
レトルトカレーと同様のレトルトシリーズには新しく牛丼、親子丼、中華丼、麻婆丼の4種類が追加されていた。最近では登山用やキャンプ用としてもそうだが、災害の非常食用などでレトルトパウチを扱っているアウトドアショップも多い。
「ふつうは一人前分を白いご飯の上にかけて食べるんだけれど、今日は4つの鍋に温めたそれぞれの具を用意したから、それぞれ食べ比べてみてね」
ご飯の方はいつものアルファ米にお湯を混ぜて作った白米を用意してある。そして鍋にはそれぞれの味を2人前ずつ入れ、鍋で温めてある。
レトルトパウチに入っている一人前分の量は実際には少なめだし、みんなよく食べるだろうから8人分くらい大丈夫だろう。余ったらランジェさんの収納魔法でしまってもらえばいいだけだからな。
それに俺もこれらの料理を食べるのは本当に久しぶりだ。久しぶりにお腹がいっぱいになるまで食べるとしよう!
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いつも拙作をお読みいただきまして、誠にありがとうございます♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)
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