32.王子18歳・秋。真似。

 オースティン様は、クレイグ様にずっと勝てていません。

 それもそのはず、クレイグ様は訓練が仕事だけれど、オースティン様はご公務の合間に鍛錬しているだけなのですから。

 だから、落ち込む必要なんてないんです……そう言いたいけれど、言えませんでした。

 私が言い出したこととはいえ、胸が苦しいです。


「くそ、クレイグの盗めるところは全部盗んだ……! どうして勝てないんだ……!」


 悔しそうな王子。

 こんな勝負でなければ、お慰めもするのですが……。


「もう、クレイグの全てを真似るしかない!! こうなったら社会の窓を全開に──」

「それだけは真似ないでくださいーー!!」


 必 死 で 止 め ま し た 。

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