02.王子5歳・夏。初めての川。

「ありちゃ、川に入ったことありゅ?」


 キラキラした川の前で馬車を止めさせたかと思うと、これまたキラキラした目でオースティン様が私を見上げています。


「はい、ございますよ」


 まぁ普通の令嬢なら入ったことはないでしょうけどね。

 私は子だくさんの末端子爵家で生まれて、五歳までは割と自由に遊ばせてもらったので。


「きもちーの?」

「そうですね、夏の暑い時に入ると格別です」

「ぼくもはいりゅー!」

「えっ!!」


 止める間もなく馬車から飛び降りたオースティン様は。


 ザップーーン!!


「王子ぃぃいいいいいい!!」

「わぁぁあああ! ありちゃぁあああ!」


 私も飛び込んで助けました。

 今から公務だというのに、どうすんですかこれ。

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