第17話 追記:会員用月刊誌に載った話
iNTRO.G(イントロ.G) 2003年 No.184
平成15年1月15日号 (定価450円)(無料かと思ってた…)
成婚して退会したので、体験記を掲載してもらった。
文章は私が書いた。(掲載料は諭吉ふたり分)
* * *
『約5年間の活動期間。
そろそろ結婚は難しいかも、と考え始めていた頃、彼の初度紹介書が届きました。
彼はふたつも年下。入会したてで、おまけに好条件が揃っていたため、いい返事はさほど期待していませんでした。
すると、数日後にお受けの返事が届いたのです。
さっそく電話をしてみると、彼は自然体でとても楽しい人。年間200本もの映画を観ているとのことで、その話題で盛り上がりました。
実は、対面する前に長電話をした人とはうまくいかないという長年の経験から、なるべく初回は用件のみで終わらせるようにしていたのです。
でも、その時ばかりは彼との会話が楽しくて、気が付くと1時間以上も長話をしていました。
彼の印象は、正直、私の周りにはいないタイプの人だな、というものでした。そのため、最初は戸惑うこともあったのですが、人柄が分かるにつれ、徐々に心惹かれていきました。
はじめての長距離ドライブでは山中湖へでかけおいしいおそばを食べ、湧き水の名所を見て回り、清流に沿って散策。こんな素敵なデートを思いつく彼に好感度は上がるばかり。
帰り道の渋滞では、後続の車が間を詰めすぎて軽く接触。
その振動に気付くと彼は「今ぶつかったよね? でも大した車じゃないし、まあいいかー」と涼しい顔。
この時、この人は本当に穏やかでイイ人なんだなぁ、と思いました。
半年後、旅行先の沖縄でプロポーズを受け、昨年9月に結婚式を挙げました。
そんな私たちに触発されてか、友人二人もオーネットに入会。二人とも活動中です。
私たちが出会い、ともに暮らせる喜びを与えてくれたオーネットに感謝し、また友人を含め、活動のみなさんにも幸運が訪れますよう、心よりお祈りしております。』
(*注:そのままだと読みづらかったので改行を追加し、文面に少しの手直しを入れてあります。)
* * *
20年ぶりに読んで、気づいたこと。
初回時に長電話したのは忘れてたな……。
車に関しては——じつはあの当時、夫の車には左の後部ドアにでっかい錆の浮いた大穴が開いていてですね。白のセダンだったので、ものすごく目立ってて通りすがりの運転手や通行人の目を引いていたのね。
そんな車に乗ってデートに誘いにきたので、助手席に回れば左の後部ドアが当然目に入る。
車のドアに穴が開いてるってさ……そんなのふつうに公道走ってる車でも見る機会ってそうそうナイじゃないですか。
なかなか衝撃的でびっくりしたけど、その説明が「運転の練習中にぶつけてそのままにしてたらこうなった」って、まあ飾り気もなく自然体でね……「そんなもんか」と、その時点で肩の力は抜けまくっていた気がする。
娘が小学校に上がるころに車を買い替えた。
娘がまだ赤ん坊の時に、クーハンに乗せて移動中にとんでもねぇ暴発(⁈)を起こして車内でオムツ交換とか、喘息発作で毎月のように深夜診療やってる病院に車走らせたりとか、とにかくさまざまな記憶が駆け巡って、相手は物質(しかもドアに穴あきの中古車)ながら、手放す時にはちょっと涙が出たなぁ。
我が夫、本当に周囲の目を気にしない人なんだよね。あと、ものに対しての執着が薄い。
細かいことを気にしないおかげで、こちらが救われてる面がたくさんある。
我々の結婚後、ふたり入会してたのは本当で、ひとりは同僚女性だった。
ただ、紹介される男性が話す『理想の女性像』に我慢できなかったみたいで、毎回説教してるって話してた……。強い。(^◇^;)
20年の時を経て、さまざまな人たちと縁が遠くなってしまったけど、今どうしているだろうか……。
平穏無事に暮らせているといいなと心から思う。
ネットニュースによれば、2020年以降に結婚した人の18.8%がマッチングアプリで出会った人たちだそう。
時代は変わったなぁという印象。
昔よりも、出会える機会が減ってるんでしょうね。
娘の大学生活見てても学業だけで精一杯、まるで出会いのない生活だものね…。
Twitterでマッチングアプリ使ってる人の感想をちょっと覗いてみたけど、今も昔もあまり印象は変わらないかも。
遊び半分の人が混ざってても見分けつかないぶん、婚活の環境は昔より厳しいのかもしれない。
とかいいつつも、成婚カップルの5組に1組がマッチングアプリ結婚なのだとしたら、出会いのツールとして使うのも合理的?ともいえるのかも。
自分の場合、譲れない条件は『年下』と『自分よりは理知的な人』だった。あと声かな。
自分は視覚に問題があるせいか、容貌には強いこだわりがなくて……できれば男性らしい低い声域がいいなとは思ってた。(このあたりは発声の音域が関係してるかも。己の声は体を伝わって聞こえるので、他者が聞く声とは違って聴こえている。自分の声の音域が本人にとって、長年聞き慣れた、聞き取りやすい声質となっているので、声が高い人は声の高い異性を好む傾向が強いように感じる。逆もまた然り。ちなみに私自身は、地声が低いほうだと思う)
どちらかと言うと若い時の
相手の本質を見るのに『誠実さ』『常識の程度』『食の好み』を、普段の言動や行動で判断していた。
あとはこちらの勧める行為や、物ごとに対しての反応かな。融通が利くか、こちらがなにかをしたときの、相手の拒絶反応が激しくないかを見て、将来的に豹変が起こらないか、裏表がないだろうかとすごく気にかけてきたと思う。
活動中に得た識見は『自分が安堵して暮らせる人は、予測のつかない容貌をしている』、この一言に尽きる。
外見で判断せず、中身を見て一緒に暮らせる相手なのかを見極めていくのは、かなり大変な道だろうなぁと想像がつく…今の世なら、自分も無理かなと考えてしまう。
メゲずに前向きに活動した人だけが、結婚相談所でゴールインできる可能性がある。
無責任ながらも、頑張れとしか言えない。
無駄な時間もたくさんあるけど、相手を見る経験を積む機会と割り切るのも必要。けど、自分がいるならば、同じように自分に合う必ず相手もいると信じて欲しい。
妥協できないところだけは譲らずに(ただし欲張り過ぎないように気をつけつつ)、穏やかに日々を暮らせる人と巡り会える幸運が婚活中の方々に訪れますように。
心よりお祈りしております!
おまけ(書いてるうちに思い出した結婚後の雑記)につづく。
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