第113話 決戦
帝都ラベンズリへと続く街道沿い。魔王軍の通行を阻む一団があった。
彼らはホリゾンタルエデン教団。帝都へと向かうだろう魔王軍を待ち構えている。多くの贄を必要とする彼らにとって、今以上に魔王軍が暴れ回るなど看過できない。
「来たわね……」
「セイジョ様をお守りしろ! 我らの命に替えてでも!」
魔王ケンタの巨体が街道の先に見える。ケンタウロス族だとは思えぬ体躯。まだかなりの距離があったというのに、不安を掻き立てる蹄の音が地鳴りのように響いていた。
「無駄よ。私たちはここまでなんだもの……」
軍団を指揮するアリスは既に諦めている。幾つもの国を滅ぼした魔王と対等に戦えるはずがないのだ。自らの死を受け入れて戦うだけ。結果が明らかな戦闘を始めるしかなかった。
「全員、迷わず死薬を使うこと。私たちの罪は魔王を倒すことで浄化されるでしょう。期待するなら来世にしなさい」
アリスは毅然と言い放った。もう自分たちには何の希望もないのだと。せめて魔王を道連れとし、天へと還ることが許されるように。
「了解しました。魔王と接触するや、死薬を使います」
兵たちも覚悟を決めている。アリスとは異なり、理想社会の実現が彼らの目的だ。信仰する神を復活させ、世界を再構築すること。従って死への恐怖など彼らからは感じられない。
みるみるうちに接近する魔王ケンタ。彼の脇には聞いていたように五体のサンドワームが付き従っている。溜め息しかでない状況であったけれど、アリスはもう充分に泣いたのだ。己が人生を嘆き、最低な死に様を受け入れている。
魔王軍はどうしてか僧兵たちの前で立ち止まっていた。強大な彼らであれば道端の僧兵など蟻にも等しい存在だというのに。
「ふはは! このような場所で何をしている?」
ケンタが問う。まるで巨竜に見下ろされているかのような威圧感だ。巨大なケンタウロスとは聞いていたけれど、ここまでとは考えていない。
「貴方を待っていたのよ? 魔王ケンタ……」
「俺様の夜とぎを待っていたのか?」
意外にも戦いの前段階として会話があった。脅威であると少しも考えていないのか、魔王ケンタはアリスとの対話を始めている。
「夜とぎを受け入れたら、仲間にしてくれるの?」
正直に馬の相手など御免被りたいけれど、アリスは問いを返している。
「俺様の行為を受け、生きていられるのなら構わんぞ?」
予想外過ぎる話にアリスは困惑した。行為といえば間違いなく性行為であると思うけれど、生きていられるとの意味合いが分からない。
「毒でも出すっていうの?」
「察しの悪い女だ。良いだろう、ならば見せてくれよう!」
言ってケンタはいきり勃ったモノを見せつけるようにする。どうだと言わんばかりに。
アリスは声を失っていた。流石に生きてはいられないと思う。巨槍と表現するに相応しいモノを受け止めきれるとは考えられない。
「か、かかれぇぇっ! セイジョ様をお守りするのだ!」
勇敢にも僧兵長が先陣を切って行く。その手には死薬。露出したケンタのイチモツを目掛けて駆け出していった。
「死ねぇぇっ! 魔王ケンタァァッ!」
俄に光明が差す。硬い皮膚に死薬を浴びせるよりも、露出した部分に浴びせた方が効果的である。しかも地面スレスレまで伸びているのだ。攻撃してくれと言わんばかりに露出したモノへと僧兵たちが接近していく。
「おらあぁぁあああぁぁっ!!」
真っ先に僧兵長が投げつけると、僧兵たちも続いた。死薬は的確に浴びせられ、魔王ケンタの命は死薬によって削り取られていくはずだ。
「効かぁぁん! 無駄だぞ、人族ども!!」
確実に死薬を浴び、その部分からは紫色の煙が出ていたというのに、なぜか効果は発揮しなかった。悪魔が錬成した特別な薬であったというのに。
足元にいた僧兵たち。彼らは一瞬にして天へと還ることになった。
ケンタが軽く前足を振っただけで、百人からいた僧兵たちは無惨にも殺されている。破裂したものや踏み潰されたもの。羽虫を追い払うよりも容易く、その生を失っていた。
「うそ……?」
アリスは呆然と立ち尽くす。少しばかり期待した未来は脆くも崩れ去る。全員で突撃していったというのに、小傷すら与えられないなんてと。
「ふははぁぁっ! 女、お前は串刺しにしてやろう!!」
僧兵たちを蹴散らしたあと、ケンタが駆け出す。いきり勃ったモノを見せつけるようにして、アリスへと向かっていた。
対するアリスは逃げようともしない。彼女はもう旅立つときなのだと分かったから。魔王と対峙したことにより、罪が許されることを願うだけである。
「罪深き人生がようやく終わる……」
アリスは目を閉じた。眼前で破裂するかの如く壮絶な死を遂げた僧兵たちと同じところへ還られるようにと。
ところが、アリスの願いは叶わない。瞬殺されるものと疑わなかったというのに、今も意識があるどころか痛みすら感じなかった。
薄く目を開くアリス。彼女はあり得ない光景を目にしている。どうしてか自身の目の前には剣士が立っており、そそり勃っていたモノは魔王ケンタから切り離されていた。
「クリエス様――――?」
刹那に漏れた言葉はかつて死ぬほど愛した人の名であった。
アリスの視界に現れた剣士は長刀を振り切っている。
ボサボサの金髪や背格好から感じる雰囲気の全てが、記憶の名を口ずさんだ理由だ。顔を見てもいなければ、彼はもうこの世の存在ではなかったというのに。
「アリス、下がれっ!!」
刹那に名を呼ばれている。どうして名前を知っているのか疑問でしかなかったけれど、戦闘の邪魔になっているのは事実だ。困惑しながらもアリスは後方へと駆け出していく。
「ぐはぁっ! 人族、よくも俺様のアレを切り落としやがったな!?」
ケンタは怒り狂っているようだ。しかしながら、切り落とされた彼のモノはどうしてか再び元通りになっている。
長刀を肩に置き、剣士は魔王ケンタを睨み付けていた。
「タケノコみたいに生やすんじゃねぇよ……」
現れたのはクリエスだった。アリスが口にしたままの人物である。
魔王軍が帝都ラベンズリに到着するまでに追いついた模様だ。
「クリエス様、エクストラヒールではありませんか!?」
背後からヒナが叫ぶように言った。
切り落とした部位を再生して見せたケンタ。その事実は伝説級の神聖魔法だとしか思えない。つまるところ、エクストラヒールなのではないかと。
「マジか。確認してみる……」
とりあえずラブボイーンであれば戦えることが分かった。ならば魔眼にて詳細を知ろうと思う。
【名前】ケンタ
【種別】ケンタウロス族
【年齢】31
【ジョブ】魔王
【属性】不明
【レベル】2169
【体力】不明
【魔力】不明
【戦闘】不明
【知恵】不明
【体力】不明
【俊敏】不明
【幸運】不明
【スキル】不明
残念ながらレベルしか判明していない。恐らくはレベル差ではなく、Sランクジョブの最上位である魔王はAランクのクレリック如きのスキルを受け付けない。格の違いが鑑定を阻害しているのだろう。
「クソッタレが……。なら回復できねぇように腐らせてやんよ!」
クリエスは腐食術[極]を実行。回復よりも早く腐らせてしまおうと。
「ふははぁぁっ! 俺様にチンケな攻撃が利くと思うなよ!? 覚醒した俺様は有り余る精力によって自動で超回復できるように進化したのだっ!」
ケンタが話すように腐った瞬間から回復が始まっていた。意思を介することなく、ケンタは超回復ができるらしい。
「エクストラヒール級を常時発動するなんてあり得ません!」
ヒナは頭を振る。欠損部位の回復はそれこそ神の御業であるというのに、それを常時発動しているなんて奇跡でも見ているかのようだ。
『婿殿、力を貸そう! 妾のエクストリームテラプロージョンならば木っ端微塵じゃて!』
イーサの意見にクリエスは同意。回復する本体がなくなれば、常時発動だろうとも意味はないはずと。
「ヒナ、防御はできるか!?」
「攻撃できなくなりますが、聖域という絶対防御スキルがあります!」
ヒナが無事なら問題はない。クリエスは身体の支配権をイーサに譲渡した。霊体であるよりも、魔法の威力が増すはずと。
「婿殿の身体は久しぶりなのじゃ! 馬っころ、覚悟せよ!!」
言ってイーサは強大な爆裂魔法を詠唱していく。だが、こんな今もケンタは脅威とも感じていないようだ。山をも吹き飛ばす爆裂魔法が放たれようとしていたのに。
「エクストリームテラプロージョン!!」
イーサの爆裂魔法が炸裂する。刹那に周囲一帯が強大な衝撃波に襲われ、次の瞬間には巨大なキノコ雲に呑まれてしまう。生身の身体を介したその魔法は今までの威力と明確に異なっていた。
一瞬のあと、周囲に風が吹き荒ぶ。爆発によって粉塵が巻き起こっていたけれど、それは穏やかに現状を露わとしていく。
しばらくして、視界が回復する。アストラル世界史でも最高峰といえる爆発のあと。しかしながら、そこに巨大なケンタウロスは存在し続けていた。
「嘘だろ……?」
クリエスは呆然としていた。魔王候補イーサの攻撃でも無傷だなんてと。魔王化は考えていたよりも、ずっと凶悪化することなのだと身をもって知った。
「その程度か? 矮小なる人族よ!」
ケンタは不適な笑みを浮かべている。もう既にクリエスたちの力量を推し量ったかのようだ。万が一にも負けるようなことはないと考えている。
「るせぇ!!」
クリエスは果敢にも斬りかかっていく。イーサの爆裂魔法でも無傷であったというのに。
力一杯に振り抜かれたラブボイーン。大木のような前脚を袈裟斬りにしたけれど、やはりケンタは超回復を見せる。完全に振り切ったというのに、何事もなかったかのように、ケンタは前脚にてクリエスへと蹴りを入れていた。
「ぐあぁぁっ!!」
まるで大砲をその身に受けたような衝撃。クリエスは容易に後方へと吹き飛ばされてしまう。尋常ではないダメージがあっただろうが、それでもクリエスは立ち上がっている。
「クリエス様!?」
「ヒナは聖域を維持しておけ……」
言ってクリエスは自分で回復魔法を唱えている。ヒナまで危険に晒すつもりはないのだと。
「魔王、死ねぇぇ!」
「無駄なことよ! 貴様こそ死ぬがいい!」
ケンタは再び蹴りを入れ、クリエスはそれに合わせた。渾身の一振りはケンタの前脚を斬り落としたけれど、超回復はケンタの前脚を元通りに生やしてしまう。
「精魂尽きるまで斬り裂いてやる!」
圧倒的な超回復を見せるケンタに対してだが、クリエスは引くつもりなどなかった。超回復が精力を根幹としているのなら、その精力が尽きるまで斬り付けるだけだと。
「クソがぁぁっ!!」
何度も斬り付け、腐食術をかけまくった。体力値と魔力値が尽きるまでクリエスは戦うと決めている。完全なる持久戦を挑むつもりであった。
「雑魚がっ! 俺様は魔王ケンタである! ゴミはゴミらしくしておけぇぇっ!!」
魔王ケンタもまた持久戦を受け入れている。巨躯ゆえに彼の攻撃は見切られやすく、蹴りを入れると透かさず剣にて斬り落とされてしまう。だが、足下の人族を仕留めるまで、彼は何度でも攻撃を加え続けるだけであった。
双方共が決め手を欠いている。圧倒的な戦闘値を持つ魔王ケンタであったけれど、素早さに勝るクリエスを捉えきれない。一方でクリエスもまた常時超回復という厄介なスキルに対処できないままだ。
「クソ……」
まるで手応えがない。持久戦の結末は体格に劣るクリエスが不利だ。回復魔法はあったけれど、すり減った精神力までそれは癒やせない。根性という頼りない精神論だけでクリエスは愛刀を振り続ける。
『婿殿、ここは街道じゃ。妾の最大魔法をお見舞いしてやっても良いぞ?』
ここで見かねたのか、イーサが口を開く。しかし、クリエスは眉間にシワを寄せた。イーサの最大魔法は先ほど見たばかり。もう一度、エクストリームテラプロージョンを撃ち放つというのならば。
「あれはダメージが入っていなかっただろ!?」
『ああいや、エクストリームテラプロージョンじゃない。婿殿は妾の全てを見ておらんのか?』
妙な問いが返ってくる。イーサと契約してから、確かにステータスを確認したはず。クリエスは記憶を掘り返していた。
【・不明――――】
そういえばスキル欄に不確定項目が一つだけあった。あまり気にしていなかったけれど、イーサが話す最強魔法とはそれのことだと思う。
「それなら魔王ケンタを倒せるのか?」
『分からん。しかし、威力はエクストリームテラプロージョンの比ではない。かつて試し撃ちした折りには大地を割ってしまったからの……』
聞く限りはもの凄い威力なのだろう。大地を割るという表現は確かに以前にも聞いた。あの頃に聞いた内容は大海を割り、大地を消失させたという話である。
「頼む。俺の身体を乗っ取った方がいいのか?」
『その方が威力は増すじゃろう。一つ伝えておかねばならんのじゃが、妾はそれを撃ち放つと三日三晩寝込むことになった。以降は何もできんようになるが、構わんな?』
イーサの話は今後、彼女の助力を得られないという内容だ。恐らくはその一発で彼女の魔力は底を突いてしまうのだろう。
「ああ、あとは俺がやる。できる限り、魔王の奴を弱らせてくれ……」
どうせ削り合いなのだ。ならば先にイーサの超大魔法とやらで、魔王ケンタの精力を限界まで下げた方が戦いやすい。ゴールが見えない戦いを挑むよりも、精神的に楽だと思えた。
『ならば結構じゃ! 婿殿、決して死んではならぬぞ?』
クリエスが天に還ったのなら、イーサもまた同様である。一蓮托生である彼女は最後にそう付け加えていた。
刹那のこと、クリエスが身体の自由を奪われる。と同時に意味不明な言語によって詠唱が始まっていく。
「馬っころよ、覚悟するのじゃ。妾はまだ天に還りとうない。よって貴様が先に逝くのじゃ……」
イーサは臆面もなく言い切っていた。先ほどの爆裂魔法より威力が上回ったとして、再生回数は同じ一回であるというのに。
「冥土の土産じゃ! 真の魔王が誰であるのか、その身をもって知るがよい! 魂が壊れるまで死んだのち、旅立ってゆけ!!」
詠唱が終わるや、地鳴りが起きた。立っていられないほどの揺れに襲われ、巨大な立体魔法陣がケンタだけでなく、五体のサンドワームをも囲み込んだ。
「ニルヴァーナァァッ!!」
イーサを甘く見ていたのか、ケンタは結界ともいえる魔法陣に取り込まれてしまう。
「むおぅ!? これは!?」
「今更、遅いのじゃ! 無限地獄へと旅立つがよい!」
程なく結界が黒く染まる。山のように巨大な暗黒が大地に生まれていた。
クリエスは呆然と眺めるだけ。暗黒の内部では何が起きているのか不明だが、悲痛なケンタの叫び声を聞く限りは、イーサが語った無限地獄がそこにあるのだと思う。
『マジかよ……』
破裂するような音が何度も周囲に木霊している。無限地獄とは話していたけれど、通常であれば一回で輪廻に還るところを超回復のせいでケンタは何度も臨死体験をしているらしい。
『魂が壊れる……』
確かにイーサはそう口にしていた。魂が壊れるまで死ぬのだと。今まさにケンタの精力を奪い去っている最中であるが、同時に精神力までも失っていることだろう。
『婿殿、あとは頼むぞ!!』
イーサの声が脳裏に響く。既に身体の支配権は戻されており、クリエスは咄嗟に身を屈める。なぜなら魔法陣で構築された結界が今にも崩壊しそうであったからだ。
目映い輝きが発せられたあと、結界は大爆発を起こした。更には大地が裂け、クリエスは地獄の底へと繋がっていそうな谷底へと落ちていく。
「うあぁあああぁあぁああっ!?!」
しかしながら、九死に一生を得ていた。落下していたクリエスはどうしてか空中で静止していたのだ。かといって、その理由は直ぐに理解できている。
「ヒナ!?」
「間に合って良かったです……」
嫌な予感がしたというヒナは光り輝く羽を出し、クリエスの側まで飛んできたようだ。もっとも彼女は聖域にてクリエスを守るつもりだったのだが、結果的にそれは功を奏していた。クリエスの落下を防げたのだから。
「ちくしょう、イーサのやつ俺が飛べるとでも考えていたのか?」
避けた大地は元に戻っていない。深い谷となった街道は橋を架けるのも困難なほど広大な裂け目となっていた。
クリエスは落下を免れたものの、対峙していた魔王ケンタは今や奈落の底である。
「この裂け目はまるで世界の狭間です……」
ポツリとヒナが言った。既にイーサの姿はない。彼女はありったけの魔力を使い果たしてしまったようだ。
「何だそれ? 世界の狭間?」
「ええ、世界の狭間です。北大陸にはこ同じような大地の裂け目があるのですよ。東西に長く走っており、わたくしが住んでいたグランタル聖王国内にも世界の狭間は走っております。そのせいで聖王国は世界の狭間に分断され、南部との交流には他国から迂回しなければならないのです」
自然に割れたとは考えられない谷間だとヒナは言う。
一方でクリエスは全てがイーサの仕業であると推し量っていた。なぜならイーサは試し撃ちした折りに大地を割ったと話していたのだ。それが世に伝わる世界の狭間についての真相であると思う。
「ヒナ、アリスは無事なのか!?」
「アリス様は裂け目にはおりませんでしたので問題ありません。腰を抜かせておられるようですが……」
大地が避けて広大な谷間が生まれていた。かといって陥没したわけではない。クリエスのように裂け目に立っていた場合は落下を免れなかっただろうが、幸いにもアリスは無事であったらしい。
「ケンタは生きていると思うか?」
アリスの無事を確認したクリエスが問う。ゆっくりと大地へと向かいながら、今後について思考するために。
「どうでしょう。精力とやらが尽きていなければ生きているかもしれません。エクストラヒールは魂がこの世に残っている限り、回復可能な魔法なのです。常時発動しているならば、生きている可能性は高いかと……」
クリエスも同じ意見であった。精力で魔王にまで登り詰めたケンタである。確実に疲弊しているだろうが、生きているはず。イーサもまたそのような話をしていたのだから。
あとは頼む――――と。
裂け目から谷底を見下ろしていると、再び地面が揺れる。
もう既にイーサの魔法は完結しており、再度の揺れは原因を容易に察知することができた。
クリエスは再び刀を握る手に力を入れる。まず間違いなく魔王ケンタは生きているはずだ。
更には決意を新たにしていた。あの強大なケンタウロスはここで仕留めておくべきだろうと。
クリエスの覚悟に呼応するような声が谷底から響いていた。
「決して許さぬ――――」
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