第83話 朝の散歩
毎日犬を連れて、散歩がてら旦那様を駅の途中まで送ってバイバイして帰ってきます。今日は田んぼに差し掛かったらポツポツと雨が降ってきて、
「帰ろう」と言うので私だけ帰して、そこから一人で行くのかと思ったら、タッタと反転して自分も行こうとする。
「鍵持って行って、車に乗って迎えに来て〜」と渡すと、急いで行ったものの途中出会うこともなく私も家まで着いてしまった。
「何してるの?」と聞くと、
「濡れるからズボン替える」と、それから10分ほど降りてこない…
何に着替えてるんだか…私は犬にご飯を上げながら、雨に酷く振られないで良かったと一息入れ、出勤までに用意できなかったサーモスにルイボスティーを入れて、朝の失態の帳尻を合わせた。良かった間に合った。
それから、マスクの予備をジップロックに入れて鞄の中に忍ばせる。
2階から降りてきた旦那様はすっかり様子が変わって爽やかな出で立ち。
昔はこんな爽やかな色は衣替えまで着なかったのにな〜まだ4月…どうやら靴も替えていくらしい。
雨でグシャグシャになると嫌だって〜朝の忙しい時間なのに随分流暢に時間を使って、何が有っても焦らない人なのだ。
私ならバタバタ慌てて帰ってきて、待っている奥さんが濡れないように急いで車を出して行ったはず…そこ…私は見てない。今日の仕事と雨との兼ね合いだけに集中できる。流石だ。
自分を持っているということは良いことだ。何かに振り回されたり、こんなはずじゃなかったと愚痴ることもない。常に自分が何をするべきかで動く。最強だ。
優柔不断な私も最近少し強くなってきた。旦那様の呪縛から逃れて旅行は時々断って、旦那様が友だちとの時間を優先しても悲しくなくなった。毎月飲み会や旅行に幸せそうに出かける。それで良いと思えるようになった。
来月は北海道と京都に行くらしい。私は籠もって小説を書く。
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