第56話 持たない生活
よく図書館に通った。作品を書こうと思うと分からないことが多くて専門書を読んだり、関連図書を調べたり。昔はwiki もgoogleも無いから手軽に調べる方法が無くて図書館は大切な情報源だった。
韓国語の勉強のために電子辞書も必ず持ち歩いた。辞書を引くのも難しい。難しい事や直ぐに必要な情報より言葉の羅列、使用法など事細かに書いてある分、欲しい情報が掴めなくて苦手だった。今は、こんな言葉あったかな、送り仮名の使い方って、これは何時代、その度にアイホンで検索する。簡単な事からかなり込み入った事まで本当に楽に手に入る。
その分、図書館に行かなくなった。知らずしらず調べることが無くなって足が遠のいた。これは困る。私にとっては一大事。出不精に益々拍車がかかる。唯一行ってたところに行かないなんて…一大事なのに笑って過ごせる。
歳をとると持つ事に疲れる。本棚は満杯だし取ってある資料も膨大。もうこれ以上持ちたく無い。抱えたくない。
生活に余裕ができたら出版したい原稿がたくさんあったのに…売れずに戻ってくる返本の洗礼を受けて挫けてしまった。今や…出版は怖いのだ。
台所仕事も簡単になった。何度も引っ越しを繰り返して皿も最低限の数で生活することが出来るようになった。包丁も一本ですべて賄える。どうしても大きいものを切る時に必要な物があるにはあるが年に一度も登場しない。食洗機も使わない。使った数枚の皿を洗って置いておけば次に行った時には乾いている。それを仕舞って次の仕事にかかる。
至ってシンプル。後でがない生活。後に回すと忘れてしまって出来ないのでその場でやるしか無い。必然的な生活のサイクルで片付けが上手くなった。必然的に…
意図しなくても出来ることが増える。簡単だ今やるからすぐ終わる。その繰り返しで家が片付く。
今はもう少し岩田わくもを売りたい。書いた作品を多くの方に読んでほしい。そのためだけに毎日書く。
ああ、辞書がいらないのはPCのお陰だ。文字を探さなくても良くなったから…
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