第46話 あさが来た

 明るい。暖かい。朝は、優しい。

 義父が八十九歳で盲腸の手術を受けました。

 去年5月に踏み台から足を踏み外して落っこちて、脊髄を痛めて手術。この歳で一年に二回も全身麻酔で手術するなんて凄いな〜と、思いながら…

 外科的には、盲腸は30分で終わる簡単な手術らしいけど、腫れて膿が出たりすれば腹膜炎が起きる可能性もあって、やんちゃな臓器。

 直径が通常五ミリのところ二十ミリもあってかなり腫れている。緊急手術が必要な症状だから本当は夜中にやってしまいたいけど、大腸癌の恐れもあって全身麻酔が必要かもしれない。人出のある中で手術したいと明けての手術となりました。

 22時半に救急車で搬送されて結果が出たのは明けて3時。

 夜中に41度の高熱。呼吸が混濁して、気持ち悪そうに吐く。

 その間救急隊員が、母が、矢継ぎ早に色々聞いても、耳が遠くて返事ができないのか、朦朧として返事ができないのか判別できないまま病院へ。

 検査の結果、意外にも盲腸と判断されました。処置が済んで少し安定した様子は静かで楽そうに見えました。

 朝になって再度病院へ駆けつけると、目が覚めた父は、昨夜のことも、救急車のことも何も覚えていないと言うので、唖然。

 色々聞いて判断するのもどうかなと思ってしまった。

 なるべく本人に答えて欲しい。でも、はいはいと答えるからってそれを鵜呑みにしても、答えた本人が知らなかったなんて。問診事態が疑わしい。

 検査した上での判断だから大丈夫なんだろうけど、何もわからずに手術室に向かう姿は痛々しかった。

 本人曰く、もう熱も下がったから家に帰りたい。薬で下がってるんだろうけれど、そう思うよね。


 手術終わって安定した様子に、本当に何事もなくてよかった。眩しそうに目を開ける父に、朝が来てよかったね。と言ってあげた。

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