第45話 待ち時間
待つことの多い人生って、どんなだろ。
待つ。嫌いな人は嫌だろう。私は割と好きな方。待ち時間を工夫してもがきながら過ごすのが好き。
我が魔法使いはとても忙しい人で、若い頃から待ち合わせに間に合わせようと心を砕いてちゃんと来る人じゃ無かった。
忙しいのは分かっている。責めても仕方がないと気づいたのはいつ頃からだろうか。気づいても直ぐ忘れる。直ぐ責めたくなる。そんな中で葛藤しながら暮らしている。
時間にルーズなんじゃなくて社会に必要とされている大事な人だから…
何事も放っておけない性格。事が起こると何にでも手を出す。
人は時代に必要とされる。必要とされるひとは忙しい。
私は残念ながら必要とされた自覚は今もってない。そのなけなしの時間を少し私に使ってくれる貴重な時なのだから、遅い!なんて怒るわけにはいかない。黙って辛抱。ずっとそう思って生きてきた。
この前、意を決して見てもらった手相占いで「あなたは気が短い?」と聞かれて、「そうです。気が短い。」と即答した。即答したけど…ちょっと意外でビックリ。
わざわざ聞かれてみると、自分は気が短いのだと思う。無駄が好きではない。いつ終わるとも見当のつかない世間話を楽しめない。待ち合わせに遅れない。
おかしな話だけど、人を待たせるのが嫌で思考回路が単純。余計なことを考えないし、出来るだけ問題が小さくなるように画策する。人はどうであれ自分はそうしたいと思っている。
だけど、そうは言うものの、何故か待つのは平気。
残念なことに慣れてしまった。待つ事にストレスを感じないこのメカニズムは、待つと言う事に気持ちを使っていない証拠なのかもしれない。
喫茶店に腰を下ろして鞄を脇に置くと、何かを広げて書いたり読んだり、つい夢中になる。
この作業が気に入っている。書く作業はこのシチュエーションが一番合っている。
一つのことに集中出来る時間は思ったより無いもので、主婦の私にとっては貴重な時間だった。
ここで生まれたお話や、雑貨のアイデア、走り描きした絵の構図。私には必要な時間。忙しい夫が作ってくれた大切な時間。
そう思える私は幸せだ。
そんな環境がこの上なく幸せだ。
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