第3話 日曜日のモーニング

 月曜から金曜の間、真夜中まで休みなく働いてフラフラになりながら帰ってくる夫。ようやく訪れた休みの日にはゆっくりドロドロに眠らせてあげたい…ところなのに、最近は気持ちとは逆に朝早く目が覚めてしまう。

 汗かき健康法奨励中!のために夏だというのに布団をしっかり首まで被って汗をかいた後さっぱりとお風呂に入って、いつも通りの冷たい豆乳を飲む。私はここまでだが、夫はその後またひと仕事したり、庭木の手入れをしたりしてグッショリと汗をかきもう一度お風呂に入る。

 私はそれを横目に見ながら、そんなことなら先に汗をかいてからお風呂にすればいいのにと毎度思う。ひとっ風呂浴びてから落ち着いて新聞を取りに外に出ると、草や庭木が気になってまた動き出してしまうらしい。

 そしてモーニングに出かける。

 夫は「出かけよう」と言ってからの動きが鈍い。ボーッとしてテレビを見て笑っているのか寝ているのかわからないような緩慢な動作で、ソファーに座っている。

この頃我慢の足りない私はそれにイライラする。

 行かないなら行かないと言ってくれ!中途半端にカバンを持って夫の動きに合わせてウロウロするのはとても疲れる。

 ようやく家を出て、たどり着いた喫茶店でモーニングを注文する。私はサンドイッチが好きだが夫はバタートーストが好きだ。注文してそれが届くと新聞を読みながら分厚いトーストを見もしないで食べる。その食べ方にも文句をつけたい。でも、土曜は休みなので大目に見ている。

 一宮に近いこの地はやはりモーニングが豪華だ。コーヒーを頼んだだけで様々なものがオマケについてくる。よせば良いのに折角つく物を断れなくて注文する。ウイークデイの朝食で豆乳しか飲まない私は、途中で満腹になり残りは夫が食べてくれる。そのせいで週末の夫は少々胃もたれ気味。

 東京から娘が帰ってきて以来、私達の時間は少し中年臭くなった。前なら何でも許せたのに文句を言いたくなる。これはあまり良いことではないので私はことごとく反省しながら、湧いてくるムカムカっとした感情をどうしたもんかと閉口している。

 文句の多い娘の性格が伝染している。自制心が欠乏している。なのに文句を言うのに慣れてないから気持ちが擦れた分心が疲弊する。文句を言いたくないのなら言わなくていいんだ…出来るだけ平和に過ごしたい。

 腹が立つ。よくよく考えればたいしたことじゃない。些細な疲れや悪しき習慣がそさせる。取るに足らない事に目くじら立てて嫌な思いをすることはない。

 男はなにもない。考えてない。反省しない。腹もない。文句を言ったところで改善されない。それでも良いと思う…それだけの働きはしていると思う。

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