君の明日
迷惑だろうなと思いながら何とも発信を繰り返した
警察に届けた方がいいのだろうか
まずは自分で探すのが先か
そう迷いながら僕は誰もいない暗い道を
無我夢中で走った。
けれど何処から探したらいいのかもわからず
ふと立ち止まる。
そこで僕は気が付いた
君のことを僕は何も知らないのだと。
自分の不甲斐なさに嫌気がさしてまた涙があふれた。
そうしているうちに着信音が静かな街に鳴り響いた。
急いで電話に出ると
「ごめんね」と一言
僕はまだ君が生きていてくれた安堵と君の震える声にまた涙した。
「大丈夫だよ」
君への返答だったのか
まだ君を引き止めることが出来る可能性がある、諦めるなという
自分への言葉だったのかは分からない。
ただ君がまだこの世界に命の光を灯し続けてくれている
それだけが心の底から嬉しかった。
それから僕たちは夜通し会話を続けた
画面の向こうにいる君と明日を迎えることだけを考えた。
君より余裕のない僕の言葉に君はどう思ったんだろうか。
ただ君に生きていて欲しかった。
それが死にたいと思うものにどれだけの重荷を背負わせることになるかを
知っていても、僕は君と生きていたかった。
この世界はそんなエゴでできている。
僕の世界に君の場所をつくる。
だから君の世界に僕も入ってもいいかな。
僕の隣で生きてくれている君のために
今日も僕はこの世界に色を塗る。
君の世界が綺麗な色で溢れるように。
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