焦りと不安

いつもと違う表情の君に僕は焦りを覚えた。


何かを決意したような強い眼差しを僕に向けた君は

サヨナラと一言だけ呟いた。

僕は聞こえないフリをしてまたね、だなんて言った。


聞き間違いであってくれとそう願いながら

家路を急ぐ喧騒の中を振り返らずに歩いた。

聞き間違いであるはずもなかったのに僕は失うことが怖くて

現実を見ることができなかったんだ。


駅のホームに立ち尽くしたまま僕はいつの間にか涙を流していた。

何が君をそこまで追い込んだのか

僕に原因があるのか

最後の君のSOSを聞こえないフリをして立ち去った僕には

知る権利などあるのだろうか。

君の手を離した僕を君はどう思うのだろうか


怖くて聞けないまま時間だけが過ぎていった。




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