4昼休み①
「では、これにて、今日の授業は終わります」
はっと目を覚ますと、ちょうど授業が終わる時間となっていた。時計を見ると、授業の大半を寝て過ごしていたらしい。20分は優に超えて寝てしまっていた。それだけ寝れば夢も見るというものだ。
そのまま、時間は適当に流れ、ようやく昼休みとなった。さて、ここで問題だ。転校生の私は誰と一緒にお昼を食べることになるだろうか。
「ねえ、一緒に食べよう」
「私たちと一緒に食べようよ。あなたのこと、昔の私を見ているようで、放っておけないの」
「それを言うのなら、私だって同じよ」
答えは、みんなとだった。逃げられるものなら、トイレにでも駆け込んで、一人飯でもと思っていたが、クラスメイトは私を逃してはくれなかった。
「よ、ヨロシクオネガイシマス……」
そう言って、笑顔で彼女たちの言葉に従うしかなかった。
「あ、あの、私はお弁当を」
「平さん、放課後暇かしら?ついてきてほしい場所があるのだけど」
「私だって、平さんと放課後過ごしたいの。邪魔しないでくれる?」
「あら、あなたが平さんに何の用事かしら?」
彼女たちは、昼休みだというのにお弁当を広げることはなかった。みな、私に話しかけることで頭がいっぱいらしい。そんなに私は目立っているのだろうか。いや、この美少女軍団の集まりでは、むしろ平凡な容姿の私は目立っている。だからといって、私は彼女たちのようにキラキラした女性になりたいとは思わない。
「ええと、私は……」
話しかけられているため、無視するわけにはいかない。せっかくの昼休みで昼食の時間でもあるというのに、私は広げた弁当に箸をつけることもままならない。とりあえず、お弁当だけでも食べたいと思いながら、放課後の予定も断るために頭を必死で働かせる。
「ねえ、平さん。話があるのだけど、一緒に来てくれる?」
すると、背後から声をかけられた。
「あら、結城(ゆうき)くんじゃない」
「もしかして、平さんのことを心配しているの?それなら心配いらないわ。私たちが」
「オレはお前らじゃなくて、平さんに話しかけている」
声の主を確認するために振り返ると、じっと男性生徒に見つめられた。どうしたらよいのだろうか。この男子生徒の言葉に従い、教室を抜け出すのが最善か。それとも、女子生徒の殺気立った視線を考慮して、やんわりと断るのが良いのか。
「ええと」
「まどろっこしいな。来いと言っている」
私が返事をする前に、男性生徒は私の腕を引っ張り、強引に席から立たせる。そして、返事を聞かずに教室の外に引っ張り出した。教室からは女生徒たちの黄色い悲鳴が聞こえていたが、私の知るところではない。私は無理やり教室から連れ出された。
「あ、あの」
「悪かったな。急に連れ出して」
男は私を空き教室まで連れてくると、ようやくつかんでいた腕を離した。そして、急に謝りだした。
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