2クラスメイトの容姿①

 ここで、全身磨き上げられた彼女たちの容姿を上から順に説明していくとしよう。


 まずは、髪の毛。女子高生特有の文化か知らないが、半数が黒髪ストレートのサラサラな髪を自慢げに肩より長く伸ばしてなびかせている。残りの3割は、プリンのように頭頂部が黒くなっていない、明るい茶髪。こちらはボブくらいの長さだが、同じようにサラサラとしているのが目で見てわかる。そして最後の2割は、ボブと同じく明るい茶髪で、ゆるりとカールがかった髪をふらりと、こちらも肩より下まで伸ばしている。先ほどの二つの髪型とは違い、サラサラではなく、ふわりと言った表現がふさわしい。思わず触りたくなる質感である。


 クラスの女子の髪型は、以上の三種類で占められていた。それ以外は今のところ見かけていない。そんな中で、私の髪型はどうだと思いますか?ご想像にお任せしますが、三種類に当てはまらないことは言っておく。


 そして、極めつけは髪から漂う、ただならぬ臭気。最近、世間で問題になっている『香害』が教室に充満していた。教壇付近で自己紹介していた時にはあまり気にならなかったが、クラスメイトの合間をぬって自分の席まで歩いていく間に感じた匂い。どこから発せられたものかと思えば、答えは簡単。女生徒の髪が臭気の発生源だった。


 一人一人の匂いは、可愛らしいものだが、それがクラス全体となるとおぞましい匂いに変化し、臭気となる。生徒の間を歩きながら自分の机に向かっていたら、彼女たちから香る匂いが鼻についたことを思い出す。


「明日からはマスクして学校に通うことにしよう」


 ちなみに私はシャンプーなどの香料があまり好きではないので、なるべく匂いの少なめの物を使うようにしている。私自身は、彼女たちのように臭気を振りまいてはいない、と思いたい。


 髪だけでだいぶ時間を使ってしまった。さて、次は顔を見ていくことにしよう。まずは人の第一印象を決めるとも言われる「目」から見ていこう。するとどうだろうか。このクラスには、一重が存在していなかった。誰も彼もがぱっちり二重で、目がキラキラと輝いていた。一重や目が小さいことに悩む人の姿がそこにはなく、二重世界が広がっていた。二重でも、三白眼などと呼ばれる黒目が小さめの人もいなかった。コンタクトで黒目補正でもしているのかまではわからないが、二重でなおかつ、黒目が大きい、理想の瞳を持つ生徒しかいなかった。そんな中での私の瞳はどうでしょう。ご想像にお任せします。


 瞳ついでにメガネについても言及していくとしよう。このクラスには、メガネという視力補正具は、女性には必要ないものらしい。黒目の大きなぱっちり二重の瞳をメガネで隠すという愚行はしたくないのか、私以外にメガネの生徒はいなかった。コンタクトか、視力矯正手術でもしたのだと思うことにした。


「絶対にメガネを外すのはやめておこう」


 コンタクトにしたいなと思ったことはあるが、こんなに瞳キラキラの中で、自分の瞳をさらすことはできない。


 目の次は眉毛。眉毛はもちろん、真ん中がつながった人間はいなかった。きれいに整えられていて、素晴らしい形だった。私については、日々努力しているとだけ言っておく。




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