再会

私が北側の街に着いた頃には

大量の兵士たちの死体があった。



「これは酷いですね」

部下の1人が素直な感情を言葉にした。



「そうですね。これが戦争なんです」

こう言うしか私には出来なかった。



「なんて酷いことを」

部下の1人が言葉に出す。

『まぁこの結果を導いたのは多分、帝国のせいだけど』



私は言葉に出さずに心に収めた。


私たちは城がある場所に向かう。

少し進むと城の上の部分が見えた。



無数の穴が空き、何者かの攻撃を受けた後ということがよくわかる。


私たちは城の前の階段にやっと着いた。

そこには誰も居らず静かな空間が

できていた。



「隊長!俺たちが先に行きます」

そう言うと10人の部下が先に階段を登った。

部下たちが門をくぐり抜けるか

否かのタイミングで


「うぁぁぁぁあああ」


大声を上げた。

「どうした?」

私はすかさず部下たちに報告を求めた。



「た、大量の我が軍の死体があります」

部下は焦りや恐怖を誤魔化すかのように

大きな声で私に報告をした。



私たちは急いで向かうとそこには報告に

あったように大量の死体と

眼帯をつけた青年、それに

鎧を着た騎士がいた。



「あなたたちが我が軍の兵士たちを殺したのですか?」

私は感情を抑えながら問いかけた。



「もちろん」

青年の言葉にピキッと来たが青年は続けてこう言う。

「先に攻撃してきたのはそっちでしょ」


確かにそうだな。なら殺すだけか。

私は彼らに近づいていくと徐々に眼帯の青年の顔がはっきり見えてくる。



そこには見覚えのある顔がある。

『なんで?』

馴染み深い顔を私は忘れたことがない。


『なんでヒル君が生きてるの?』

私の思考は混乱していた。


だが私たちの敵である以上は倒さなくては

いけない。


私、1人なら逃しても良いが後ろには

部下がいる。

「やぁっ!」


私はヒル君に斬りかかる。

カキン


しかし、鎧の騎士に剣を弾かれる。

『ヒル君と1対1になったら話したいのに!!!』


「俺たちも手伝います」

「ヤー」ザクッ

「ハッ」ズシャッ

「トゥッ」カキンザクッ


部下たちが次々と騎士に倒されてゆく。

「なんなんだよこいつ」ザクッ


そんな彼らに哀れみの目を向ける彼に私は何とも言えない感情になった。

そうして部下は全員、騎士に殺されてしまった。


シュッシュシュシュシュ

突然、光の槍が騎士の方に飛んで行った。

グサッグサッグサッ


騎士は塵になり消えていった。


「おい、そんなところで見ていないで速くおりて来いよ」

そうヒル君が言うとさっき見た天使と名乗る人が上空から降りてきた。


スタッ

その人は優雅に地面に降りた。


「ばれてしまっては仕方ありませんね」

「それで隠れていたつもりかアマラス」


どうやらこの人はアマラスと言うみたいだ。


「あ、あの。先ほどはたすけていただきありがとうございます」

「ああ。良いよ。気にしなくて」

その人はにこやかに返事をしてくれた。


「なんでお前がここにいるの?」

「それは簡単だよ。あの人が行って来いって」


『何の話をしているのだろうか?』

私は会話に入る隙間を探すが一向に入れる気がしない。


「ていう事で倒させてもらうよ」

あの人は言う。

「はあー。どうしていつもこうややこしくなるかな」

ヒル君が天使に返事する。


「スイフト」スパッ

ヒル君がボソッと単語を言った次の瞬間、天使はその場から消えていた。

天使がいたであろう場所には塵が散乱していた。


「ミア、久しぶり」

「ヒル君」

私はこの言葉以外の言葉が出てこなかった。


「何から話せばいいかな?」

私に問いかけてくる。

ヒル君はさっきとは違ってはにかんでいる。


大好きだった彼が帰ってきた!

ただ、前に見た時の彼と違って禍々しさを

感じる魔力を発している。


「ヒル君は死んでなかったの?」

「死んだよ。でも神によって生き返らせてもらったけど」

「か、神?」

「そうだよ!まぁ信じてないと思うから無理に信じなくていいけど」


そう言うと彼はまたはにかんだ笑顔を

見せる。


私は聞きたいことが沢山あるが何から聞いていいのかわからずあたふたしていると



ズシャッ

『痛っ!』

そう感じ自分の胸を見ると剣が刺さったていた。


私がヒル君の方を見ると彼は悲しそうな顔をしながら言った。


「待っていてねミア。絶対に助けるから」

「うん…」

私は彼の言葉を不思議に思ったがなんだか

懐かしい気がした。


そうして私は目の前が真っ暗になった。

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