破壊大作戦

チームAの俺たちは王国の北側にいる。

北側は城がある地域のため強い奴がいると思うが機械により制限を受けているため全く敵の位置がわからない。


ただ機械の位置は食べた兵士の記憶を頼りにしている。


「フェン」

「なんですかー?」

「小さくなって」

「わかりました〜」

フェンが小さくなり俺の肩に乗せた。

俺は仮面を外しローブを脱ぎ、眼帯に上下冒険者の服装で王国へ侵入した。


王国には東、西、南に門があるが俺は西門から兵士に質問されることなく普通に入ることができた。


『それにしてもこの兵士良い装備してるな』



王国は共和国と違い物凄く発展している。

王国は全部が高い城壁に囲まれていてわからなかったが、物凄く高い建物が整然と立っている。

それに建物には金属が大量に使われている。


『だから兵士の装備があんなに充実していたのか』

金属は中々手に入らない代物のため大量に消費することができない。

それをこんなに大量に使うことができるとなると相当な資源を持っている国だな。


俺たちは機械がある場所に向かうと一軒家にたどり着いた。


一軒家の門には兵士がいる様子がないが中庭には2人の男が座って周りをキョロキョロ見渡している。


「あれ見張りかな?」俺がフェンに聞くと

「そうだと思いますー」フェンも同意見だったようだ。


「フェン行ってこい!」

「了解ですー」

フェンは子犬のまま男たちの元へ向かった。


僕はいま男たちの所へ歩いているよ!

近くに来てわかったけどこの人たち剣持ってる。


「おいなんだお前」

1人の男が近寄ってくる。

「ワン!」

「犬だったのか」

「ワンワン」

僕は尻尾を振る。

ワシワシ

2人に頭を撫でられている。

「たまに動物が入ってくるよな」

「昨日も猫が入ってきたな」


『あるじいえに、はいれたかな?』

それにしても眠いな。

僕は大きな欠伸をして待っていると身体の魔力に違和感がなくなった。

『終わったらしいな』


魔力を調べてみると家の中には主しかいない。僕は外の兵士を家の中に誘導する。


カリカリカリカリ

家の玄関を爪で引っ掻く。

「おい、どうした?」

「さぁ」

兵士たちが僕の後を着いてきた。

「ワンワン!」

家に向かって吠えると兵士は玄関を開けた。

次の瞬間、家の中から血の匂いが漂ってきた。


「なんだこの匂い」

「行きましょう」

兵士たちが剣を構えて主がいる方へ向かっていった。


「うわぁぁぁぁ」

「助けてくれ」

兵士たちの魔力が消滅した。

コツンコツンコツンコツンコツン


「戻るか」

「はい!」


僕は主の肩に乗って家を出た。

「ちょっとその前に」

主は用事があると言いそのまま僕を連れてどこかへ向かった。




チームBの俺たちは東側の建物に向かった。

それに主様が担当する北側の機械が破壊されたらしく俺は魔力が少し使えるようになった。

俺たちは街を歩くと周りの人たちが好奇心を向けてみていた。


たしかにこの国では鎧を着ている人たちが兵士以外にいなくはないが共和国に比べて少ない。

俺たちは機械がある方へ歩いて行った。


そこは塔みたいな建物があり周辺には大量の兵士が駐在している。

「ケル。主様は隠密で機械を破壊しろっておっしゃっていたよな?」

「そうだよ」

「これ難しくない?」

「難易度高いね。全員殺していいなら簡単だけど周りにばれるもん」

「だよね」

さてどうしようか。


ここから見る限り入り口は1つで建物の高さが15mくらいだ。

入り口には4人の兵士がいる。それに屋上には2人の兵士も確認することができた。


「ケル」

「なに?」

「小さくなって塔の中に入れないか?」

「でもたくさん兵士がいるよ」

「俺が引き付けるから」

「わかった」


ケルは子犬サイズになった。

俺は塔に近づく。

「こんにちは」

まずは挨拶をした。

すると怪訝な顔をした兵士たち

「ここって何かを売っていたりするのですか?」

そう聞くと1人の兵士が言葉を返してきた。

「そういう風に見えるか?」


ぶっきらぼうな言い方で返してきた。

「はい。兵士の方々が居られるので武器を取り扱っているのかと思いまして」

「ほう。もしかしてお前、冒険者か?」

「はい」

兵士たちの視線が俺に向かっている所でケルが塔の中に入った。

『頼んだぞケル』

俺は兵士たちと何気ない会話を続けた。


さぁやってきました。やっと俺の出番だぜえ。

といっても今回やることは機械の破壊だけ。

正直、余裕だけどバレてはいけないと言うのがめんどくさいよな。

ていうか俺も主様と一緒に行きたかった。

なんでフェンばっかり主様と一緒なんだよ。


「ワオオオォォォ-ン」

あまりにも感情が荒ぶりすぎて叫んでしまった。

『やっばい。やっちゃった』

俺は急いで機械がある所へ行き壊した際、建物内に兵士が居なかったため命拾いした。


バキン

『余裕!!』

魔力の制限がなくなっていく。

辺りの魔力を探知してみると近くに知った魔力が2つあることに気が付いた。

俺はワクワクで階段を降りていく。


すると

ドタドタドタドタ

階段の下から兵士たちが登ってくる音がする。

『やっぱり来るよね』

それを俺は階段で待ち構えた。


ドタドタドタ

足音がだんだん大きくなる。

そしてついに兵士たちが目の前にきた。

「お前か!」

1人の兵士が怒鳴る。

「ワン⤵」元気がない犬の鳴き声を出した。


「そんなに怒らなくてもいいだろう」

俺の反省した態度を見たのか1人の兵士が俺を抱きかかえてくれて外まで出してくれた。


「ワンワン」

俺は尻尾を振りながらお礼を言った。

そして2つの魔力がある方へ向かう。

その魔力の元へ向かうと

ワシワシ

男に優しく頭を撫でられたがその態度とは対照的に

「グルルルル」

白い子犬が威嚇をしてきたが俺は平然とした態度で迎え撃つ。

『ざまあみろ』


「おつかれ」

「ワン!」

俺は尻尾を振りながら元気な返事で返した。


次は俺たちの出番だな。

俺たちは南側の門から入った。

兵士たちに特に何かを言われることはなかったが兵士の1人が門でシズを口説き始めたのを境に、セーレは女性にナンパされ始めた。

シズは面白がって相手を手玉に取って遊んでいるしセーレは女性たちについて行くから機械の場所に着いた時には夜になった。


「お前らしっかせえや」

「だって女の子が僕を呼んでいるから」

俺はセーレを引っ叩いた。

「痛い」

セーレは涙目で俺に向かって言う。

「おい、それ俺には効かないぞ」

「なんだ」

セーレは涙目をやめて元の顔に戻った。


『演技だったのかよ』

「シズ行くぞ」

「ちょっとまって。あそこのお店行って良い?」

シズが指さす方には酒場があった。

「これが終わった後ならいいぞ」

「はいはい。じゃあ私が終わらせて来るわ」

そういうとシズは機械がある建物に入って行った。


1分後.....

『ちょっと心配になってきたな』

「セーレ行くか?」

「えー、シズが行ったなら大丈夫だよ」

「「「キャー―――」」」

セーレは女性たちに手を振り返している。

「おいおい。目立つだろ」

「どうにかなるって」

まあまだ待っとくか。



3分後.....

「おにいさん今暇なの?」

「用事が終わったら暇になるよ」

「じゃあ私たち待っていていい?」

なぜかセーレの周りを大量の女性たちが囲っていた。

それを遠くから見つめる野次馬も現れた。


『あ――。こ――れはまずい』

バレないように隠密でとは言われたがこれは目立ちすぎている気がする。

それにしてもシズ大丈夫かな。

この野次馬が多い所で俺が中に入るとどう見ても怪しいから動けないし。



それから5分後....

女性たちを狙う野次馬が増えた。

それにしてもシズ遅いな。

お、魔力の制限が解除された。

ていう事はそろそろ来るな。



10分経過..............


『長い』

破壊してから5分ほどたったが出てこない。

セーレは1人の女の子とご飯に行こうとしており女の子たちが途方に暮れている。

そろそろ野次馬が女の子たちの所に行くかと思いきや野次馬含めこの辺りにいた男がすべて1人の女性の元にいた。

俺はシズが来るまで暇なので人だかりの方へ歩いていく。


その円の中心にはシズがいた。

「帰ってきていたのかよ」

「あ。戻ったわよ」

シズが俺を見るとこの辺りにいた男全員が俺の方を睨みつけるように見る。

俺はこの居心地の悪さに嫌気がさした。

「今日は解散で。また何かあったら連絡する」

「分かったわ」

シズはいつもと変わらない返事を返したがセーレの返事がない。


俺はセーレがいた場所を見るとそこにはもう誰も居なかった。

『まあいつも通りか』

俺は気にせず王国の人ごみの中に姿を消す。

そういえばセーレに伝えるの忘れてたな。

『バレないように食べろよって』



「さあ最後は私たちやってきましたDチーム!!」

パチパチパチパチパチ

カイムとイリスが拍手をしている。

「私たちは西側の門にやってきました。もう目の前が目的地です」

「「わああああい」」

「ちょっと君たち五月蠅いですわよ」

通りすがりのおばちゃんに注意された。


ピキッ

『まっずい。やばい。イリスがキレる』

「そうですね。すみません」

私はおばちゃんに謝りながらイリスをなだめる。

おばちゃんはこの場を後にした。


イリスは結構キレていたのか腕の血管が浮き出している。

「あのくそばばあ。ここで殺してやってもいいんだぞ」

「だめだわ」

私はイリスをなだめながらツッコミをいれる。

「そうだよね。あのくそばばあ殺した方が良いよね」

『こっちもかよ』

「おーいカイム。主様からはバレないようにしろって言われているだろ」

「ていう事はバレないように殺すのは良いってこと?」

「え?」


その発想は無かったわ。

『バレなければいいわけだし良いのかな。』

「バレないようになら良いんじゃない?」

「じゃあ俺たち用事ができたから後は頼んだ」

「ちょ」


イリスとカイムはおばちゃんが歩いて行った方へ向かっていった。

『はぁ。まあこうなるよね』

確かにチーム分けを聞いた時からこうなりそうな予感はしていた。

今まではネクロ様と一緒に行動していたからどうってことは無かったけど2人と話す機会が多かったから何となくは分かっていた。


2人ともノリが良いしただただ短気なだけだから一緒にいるのは苦じゃない。

『仕事をしますか』


私は建物の周りを徘徊していき情報を集める。といっても私の得意な闇魔法を使えば一発で解決するので闇魔法を使う。


「ナイトメア」

私は入り口にいる兵士たちを洗脳した。

そして私は洗脳した兵士1人を見張りに玄関に立たせて置き、残りの兵士と共に建物の中に潜入した。


「どうした?何か異常でもあったか?」

建物内の兵士は何事かとこちらを見ているが洗脳した兵士たちは洗脳されていない兵士たちを次々と殺し始めた。

「おい。何をしている」

「仲間だぞ」

「うあああああ」

「助けてくれえぇぇ」

阿鼻叫喚の中で最後の兵士も絶命した。


さて、洗脳した兵士はこのままこの建物に残しておくことにして他の死体をアンデッドにするか。

「ディアブロ」

私はネクロ様と違いその場にある死体でしか召喚できない。いわば主様と同じ能力を持っている。

しかしあそこまで強大なアンデッドを召喚することはできない。


私は複数のアンデッドの騎士を作り出した。

「お前たちはここの護衛をしておけ。人間は絶対にこの建物に入れるなよ」

「グァ!」

アンデッドの中で一番強そうなアンデッドが敬礼をした。


さてここは終わったしイリスとカイムの所に向かうか。

私は建物を出てイリスとカイムが向かった方もといおばあちゃんが向かった方向へ歩き出した。


『アンデッドに人間を殺すなとは言ったが洗脳されている人間は人間に該当するよな』

ていう事はまあ.....しょうがないか。

サマエルは人ごみの中に消えていった。


これで王国の魔力を制限する機械はすべて無くなった。

「うわあ。改造人間の魔力すごいな」

「ですねー」

「おいフェン。今度は俺が主様の方に乗るんだぞ」

「やーだよー」

「グルァ」

白の子犬と黒の子犬が喧嘩を始めた。


「やっぱり城の方からの魔力が凄いですね」

「そうだな。どうやって攻めようかね」

「王国の民を全員殺して召喚した方が最強のアンデッドが召喚されそうですけどね」

「それが一番楽だよな」

「そのあとヘルメスすればそのアンデッドとも戦わなくて済みますし」

え?

「バル。お前ヘルメス知っているのか?」

「勿論ですよ。だって盗賊狩りの時に使ったじゃないですか」

そりゃあそうだ。ケルとバルの目の前でヘルメス使ったんだわ。


「バル。この戦いが終わった後に何かしたい事あるか?」

「ないですね。主様の示された道を一緒に歩みたいですね」

「分かった。じゃあこの戦いが終わったら海を渡って別大陸を探検しよう」

「はい!どこまででも付いていきます!」


「フェン、ケル、バル。ネクロの所に行くぞ」

「ワン」

「わかりましたー」

「了解です!」

俺たちは城壁の上から姿を消した。

『城壁の上からの景色、綺麗だったな』

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