「報告します。調査の結果2人が何者かによって殺されたことは間違えありませんでした。それと部下2人が向かう途中の墓が何者かによって掘り返されており死体が紛失しておりました。現在はあちらに一個中隊を派遣しており殺人犯の捜索とモンスターが消えた原因についての調査を行っております。以上です。」


「わかりました。ありがとうございます」

そう言うと彼は部屋から出て行った。


「隊長〜これからどうしますか?」

「レイアもわかっているでしょ私の性格」

「まぁ、そうだよね」

レイアは私のすることがわかった様で部屋を出て行った。

『「死体が紛失していた」か』

もしかしてアンデッドになったってことかな。そしたらヒルくんに会えるんじゃ!?


私は墓に向かうことにした。

私はすぐに上長である大佐に許可を取り馬を走らせた。目的地までは馬で2日かかる。徒歩だったら20日かかるほど遠い。


ここ最近、アンデッド系のモンスターが増えている様に感じる。

モンスターにやられた商人や農民が多いのか理由はわからないが来ている服を見るとどうみても農民や商人ではない。

明らかに冒険者と呼ばれるギルドの依頼をこなす者の服を着ている輩だと思うが帝国軍にはそんな報告は来ていない。


馬を進めていると今度は冒険者らしき人達に出会った。その冒険者は大きな犬を連れて騎士と共にフードを被りローブを着た仮面の者だった。


「君たちは冒険者か?」

「そうです」

仮面の者が気の抜けた感じで答えてきた。


「どこの冒険者だ」

「キツ共和国の冒険者です」

そう答えると仮面の者が冒険者証を出した。

私はキツ共和国の冒険者であることを確認をした。


「ああすまないね」

私がそう言うと彼らは南に歩いて行った。

「アンデッドがいるから気を付けたほうがいい」

そう言うと仮面の冒険者だけがお辞儀をして歩みを進めた。仮面をしていてわからなかったがお辞儀をした時の冒険者が微笑んでいた様に感じたミアであった。


少し歩みを進めるとバルが聞いてきた。

「主なんか楽しいことでもありましたか?」

「いいや、なんでもない」

なんでそう感じたかを聞くとどうやら雰囲気に出ていたらしい。


少し驚いたがミアは今、帝国軍に所属しているらしい。

美人で馬に乗っていても様になる。

ここ最近に盗賊狩りをやりすぎたせいかアンデッドが湧きすぎている。

アンデッドは俺たちが同種とわかるからか襲ってこないので問題はないが至る所にアンデッドの群を発見する。


「主、あれらは美味しいのですか?」

バルがアンデッドを指差す。

ガルルルルル

ケルも同じことを聞いているらしい。

「美味しくないよ。不味いけど食べられるよ」

「そうなんですね」

しかしまぁアンデッドの数が多いな。

ここだけで100体はいる。

このまま放置して共和国からアンデッドの討伐依頼が来ても困るからな。


「ディアブロ」

俺はアンデッド達を魔法陣の中に入れて魔法を唱えた。

するとグチャッとした大きな肉塊が現れた。顔は1つだが右手が3本、左手が3本に足が2本と図体が大きい。

”ディアブロ”は死霊術であり魔法陣の中にいる死体や生物を合成させて1体の生物として作り出すことができる魔法だ。


”ディアブロ”で犬のケルも騎士の姿をした鎧のバルも作りだした。

「お前俺の言葉がわかるか」

俺が問いかけると

「わかるぞ!」

と返してきた。


さて名前は何にしようか。

「お前は何ができる?」

「召喚と魔法が得意!」


「そうか。じゃあ早速召喚してくれないか」

「カシオン」

そう唱えたネクロの周りに帝国軍の様な鎧を着たアンデッドが召喚された。

バルには届かなそうだが俺が倒した騎士たちと同じくらいの強さだろう。

ついでにあいつの名前はネクロにする。

アンデッド系を召喚するアンデッドであるネクロマンサーの名前を借りた。


「お前はネクロだ」

ネクロはそれを聴き頷いた。

帝国に攻め込む時は数が多ければ多いほど良いが俺が全部式できるわけではないからトップが何体か必要だろう。


俺の『ディアブロ』はそこにある生物の死骸やアンデッドを召喚の素材として使うがネクロの『カシオン』は自分自身を素材として使うようだ。

現にネクロは少し小さくなった様な気がする。だが、ネクロの放つオーラは先程と変わりがなかった。


どうやら自分の肉体を分裂させてアンデッドを作り出したようだ。

「すごいな」

「だろ!生前も召喚士だったんだよ」

「帝国のか?」

「違う。王国の」

「王国軍にそんな部隊あったのか?」

「いや、ギルド員」

「ギルド員でこんな力持ってたのか」

「まぁ王国に殺されたけどな」

「なんで?」

「力を持ちすぎたんだってさ」

そんなことがあったなんて

「憎しみはなかったのか?」

「あるから主の召喚術から俺の意識だけが出てきたんだろうよ」

「でもいまその力を使って何をするんだ?」

「そりゃあもちろん」

言わなくてもわかるだろうみたいな顔でネクロが俺を見てきた。

さすが俺が召喚したアンデッドだ。話が早くて助かる。

『帝国を滅ぼすだよな。まあミアだけは殺さないけど』


そういえばネクロの身体は小さくなったら元の大きさには戻らないのか。

「ねえねえネクロ。そういえばお前の身体は小さくなったけど元に戻るのか?」

そう聞くとネクロは自信満々な顔で

「たくさん食べることで元にも戻るしこれ以上も大きくなれるよ」

「そうか」

どうやら大丈夫らしい。


俺たちは盗賊のアジトへ足を進める。

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