第二再生 10倍!?

「お、お兄ちゃん」


「.....お、おう。どうした。そんな深刻な顔をして。ビックリなんだが」


「こ、コラボした.....動画の再生回数が.....」


「は?」


俺は頭に?を浮かべる。

コラボした回が何とランキングに載っているんだ。

それで.....それが10位圏内で.....しかも物凄く回数が伸びているんだけど、と目をあたふたと回す。

その姿を見ながら、ど、どれぐらい?、と聞いてみると。

投稿して普段の10倍の再生数かな、と答えた。


「.....普段の10倍!!!!?」


お兄ちゃん.....どうなっているの?、と愕然として聞いてくるが。

そんなもん答えられないのだが。

俺は唖然としながら見つめる。

すると芽美はうーんと悩み始める。


「.....お兄ちゃんがイケメンだからかな」


「.....俺がイケメンだから?いや関係無いだろ.....」


「じゃあ何でこんな事に.....」


「訳が分からないなうん。本気で分からん」


そんな会話をしながら俺達はSNSをついでに観てみる。

すると.....偉い事になっていた。

公式では無いが配信お知らせ用のアカウント。

そこには、昨日のは神回だ!!!!!、と声を合わせて書かれていた。

俺達は目をパチクリする。


(いやマジに神回だろ)


(イケメン声と可愛い声!この最強組み合わせだったらマジに神回だわ)


(あり得ないよなぁ。恨めしい)


その様なツイートばっかりだった。

俺達は汗を流しながら見ていると.....そこには有名な声優アイドルとかもコメントをしている。

愕然としながらそのツイートを読んだりする。

そして時計を見てハッとした。


「ヤバい!学校の時間が無い!」


「あ!そ、そうだね.....」


「行ってくるわ。御免な」


そして俺は駆け出す様に出て行く。

それから歩いていると。

2人組の男子生徒の声が聞こえた。


なあ?昨日のにぃこにぃこ動画観たか?

SNSで話題になってるよな?、とか。

俺は冷や汗を流しながら逃げる様に駆け出す。

すると.....こんな声がした。


「タイガー!」


「.....おう。どうした?瑠夏」


「おはよう!」


「朝っぱら元気だなお前.....」


「何というかハッスルだよ?アハハ」


俺をタイガーと呼ぶ女の子。

茶髪のふわふわな髪の毛。

そして笑顔の絶えないスカートが少しだけ短い美少女。

俺はその姿を見ながら苦笑する。

長住瑠夏というが.....俺の幼馴染だ。


「ねえねえ!それはそうだけど.....昨日のにぃこにぃこ動画観た!?」


瑠夏はアニメオタクである。

まあ正確に言えば動画オタク。

俺はその姿を見ながら、ま、まあな、と曖昧に返事をする。

コイツはもうきっと.....知っているよな?

多分、と思っていると。


「すっごい可愛い有名な私が好きなVチューバーとイケメンの声さんがコラボしたの!イケメンの声さんのキャラクター良かったなぁ.....」


「.....」


それが俺だとは言えず。

俺は脂汗を流す。

まさかそこまで有名になるとか思わなかったんじゃね。

だって.....取材まで書いてあったぞ。

良い加減にしろって感じだが。


「そ、そうか。因みに.....どんな名前だった?」


「たいちゃんだったよ!可愛いよねぇ。またコラボしてくれないかな」


「.....そ、そうだな」


言われながらの脂汗が止まらない。

会話をしながら俺達は歩く。

そうしていると、そういえばタイガー。.....その。義妹ちゃんは元気?、と少しだけ心配げに聞いてくる瑠夏。

俺はその姿を目を開いて見ながら、ああ、と返事をする。


「.....お前のお陰もあるが。とても元気だよ」


「.....そっか。.....女の子にとって髪の毛は命だからね.....」


「正直外に出ないと髪の毛はメラニン色素の問題があるだろうけどな。.....でもあれはあれで頑張っているから」


「そうだね。.....優しいお兄ちゃんだなぁ」


「まあな。それぐらいしか出来ないしな」


そんな弾む様な会話の後。

俺達は下駄箱に到着してから。

ニコニコしている瑠夏はそのまま下駄箱から靴を出す。


そして.....俺を見てきた。

そういえば何だかたいちゃんとタイガーって声似ているよね、と。

心臓が止まりそうになった。


「まあでもあり得ないか。アハハ。ゴメンね。何時も聞いているからかな」


「.....そうだな。何時もお前が聞いているからだろ。そんな事は有り得んぞ」


「だね。じゃあ早く教室に行かないと」


「そうだな」


それから俺達は教室に向かう。

今日から隠さないといけないな。

こういうのは、だ。

バレたら義妹に迷惑掛かるしな。

と思いながら俺は教室に行くと早速とオタクの親友に絡まれた。

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