第18話 十八
「結婚しても君は可愛いし、それに綺麗だ。愛しているよ」
「えっ、いきなりどうしたんですか、急にそんなことを言われてしまうと恥ずかしいじゃないですか、
まったく、貴方って人は、普段は無口のくせに、こんな時だけ饒舌になって、卑怯ですよ、そんなの反則です。
もう、バカ、大好きです、もう、ほんとにそういうところずるいんですから、もう、なんなんですか、
いつも、そうやって、私の心をかき乱して、本当に貴方は、私の気も知らないで、もうそういうとこ嫌いじゃありません。
むしろ、大好きですから、ほんとずるすぎです。私だって、貴方が大好きなんです、分かってますか、この鈍感、唐変木、朴念仁」
すると、彼がどうした? と言ってきますので、何でもないと答えて誤魔化しましたが、どうやら納得して頂けなかったらしく、
少し困った顔をしていましたので、なんとか誤魔化せたようです。
よかったぁ~危うくバレるところでした。
ふぅー危ないところでした。
もう少しでバレてしまうところでしたからね、危なかったなぁ~まぁバレたとしても別に構わないのですがね。
どうせいつかは知られることですし、それでもし嫌われたとしたらそれはそれで仕方のない事ですがね。
だってそうでしょう、いくら好きだといっても限度がありますし、ましてや私は、こんな身体ですからね、仕方ないでしょう。
ですが、もし仮にそうなったとして、それで私が傷つくことになったとしても、その時はその時の事なので気にしてもしょうがないと思うのですよ。
私は。
それよりも、今を楽しく生きる方が大事だと思うんです。
私にとっては今この時が一番大切なんですよ、それなのになんでわざわざ自分から傷つきに行く必要があるのですか?
そんな必要どこにも無いですよね、だったら最初からそんな事しなければいいんですから、それなら悩む必要もない訳で、
そもそも悩みというのは自分の心の問題であって他人にどうこう出来る問題ではない訳で、他人からしたら、
それは余計なお世話でしかない訳ですよ、そうでしょ?
「あぁ〜また難しい顔してるぞぉ〜」
そう言われて、ハッと我に返る私、慌てて取り繕うとしたが既に遅く、時すでに遅し、完全に手遅れだったみたいで、
いつの間にか後ろに回り込まれており、逃げ場を失っていました。
(まずい、このままでは見つかってしまう)
そう思った矢先でした、彼が私に声をかけてきたのは、
「大丈夫かい聖羅?」
心配そうに聞いてくる彼に、私は何も答えず俯いていると、彼がゆっくりと近づいてきて、
私の手を取ると、そのまま自分の方へ引き寄せて、抱きしめてくれました。
(温かい、このままこうしていたい、幸せだなぁ)
そう思っていますと、耳元で囁くように話し掛けてきましたので、
「うん、大丈夫だよ、ちょっと考え事をしていただけだから」
そう言われましたので、思わず嬉しくなってしまいましたので、つい、抱きついてしまったところ、
彼から突然名前を呼ばれましたので、返事をしましたら、 突然、彼の顔が近付いて来たと思ったらキスをされてしまいました。
あまりの突然の出来事に、呆然としていると、彼の顔が離れていき、それと同時に顔が熱くなってくるのを感じた私は、
恥ずかしくて彼の顔を見れなくなってしまい、俯いたまま動けずにいました。
そんな私に構うことなく、彼は何度も口付けをしてきました。
何度も何度も、何度もキスをしてくれたお陰で、すっかり骨抜きになってしまった私を見て満足したのか、漸く離れてくれた彼にお礼を言い、
「あの、ありがとうございました、貴方のおかげで助かりました」
そう言ったあと、私からもお礼がしたいと申し出たところ、彼は少しだけ驚いた後、嬉しそうに微笑みながら、
「いいのかい、じゃあお願いしようかな」
そう言ってくれたので、さっそく行動に移すことにします。
まずは彼の膝の上に座り、首に腕を回して抱きつきます。
そしてそのまま目を閉じて、彼の唇にそっと触れるだけのキスをしてみました。
(なんだか照れてしまいますね、やっぱりこういうのは慣れてないせいでしょうか?
それとも相手がこの人だからでしょうか?
きっと後者でしょうね、ふふっでもたまにはこういう経験をしてみるのもいいかもしれませんね)
なんてことを考えながら余韻に浸っていると、
「そのままキスを続けてくれ」
「はい、わかりました、んっ、ちゅっ、ちゅぷっ、はぁはぁ、んっ、んむっ、んんっ、ふぁっ、はぁはぁ、はぁはぁ」
息継ぎの為に唇を離した直後にすかさずもう一度キスされて、また離した後、もう一度、更にもう一度と繰り返していくうちに、
だんだんと息が苦しくなってきたけれど、そんなことはお構いなしに、まだまだ続きそうな気配だったので、
私は覚悟を決めると、彼の口に吸い付いてみたのです。
(やった! 成功した!)
これで彼も少しは大人しくなるだろうと、そう思っていたのですが、そんな私の予想に反して、
逆に興奮させてしまったらしく、より一層激しく攻められて、とうとう立っていられなくなってしまった私は、
彼にしがみつくようにして寄りかかり、荒い息を整えていると、ふとある事に気がつきました。
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