第15話 十五

そう思い直したあと、再度ベッドに潜り込む。

その際、ふと思い至ったことがあり再びベッドから出ると窓に向かって歩いていきカーテンを開けて外の景色を眺めた時だった。

ふいに部屋の扉を叩く音が聞こえてくるのだった。


コンコンッ……トントントン……。

誰だろうと思いながら、扉を開けようと近づくものの手が届かないので開けることができないのだということに気付き愕然となる。

そこで仕方がなく声を張り上げて声を掛ける事にしたのですが返事がなく不思議に思っていると、

部屋の中へと入ってくる足音を聞き取ることができた瞬間である。


咄嗟に身構えてしまったせいで体勢を崩してしまい倒れそうになったところを誰かに支えられる感覚を覚えて目を開けると、

そこには、見知らぬ男の人の顔があり驚いたのですがすぐに離れるように身体を動かした直後でした。

突如現れた何者かに襲われて身体を弄られた挙句、拘束されてしまったんです。


そして抵抗する間もなく着ているものを脱がされてしまい、肌着姿にさせられてしまいましたが必死に耐えながら耐えるしかない状況でしたので、

せめて声だけでも抑えようとしていたのですが無理だったようですよ、何故なら、声を出さないように口を塞がれましたからねっ!

そんな私に見せつけるかの如く強引にキスをしてきたんですよ?


そして舌を絡ませてきたりしてきたのでもうパニック寸前にまで追い詰められていましたが、

なんとか頑張っていたんですけど最後は、意識が途切れてしまって記憶が曖昧なんですが、

気付いた時には朝だった訳ですね。


「おはよう」

そう言いながら声を掛けてきたのは、なんと私の婚約者様ではありませんか。


しかも昨夜とは打って変わって優しい雰囲気を纏っており、まるで別人のようにも思えましたが、

よくよく見てみると確かに本人だと分かるものでした。


ですが、何故ここに居るのか疑問に思った私が尋ねると、どうやら朝食の時間になっても起きてこないので様子を見に来たらしく、

それでノックしても反応が無かったため中に入ってみたら私が倒れていたため、心配して来てくれたのだそうです。

それを聞いて嬉しくなった私は彼にお礼を言うと、彼は微笑みながらこう返してきました。


なんでも、昨日の夜のことを覚えているかと聞かれたので正直に答えると、彼は嬉しそうにしながらこう言ったのです。

実はあの時、君に飲ませたのはただの水ではなくワインだったのだけど、酔っている様子はなかったから大丈夫かと思っていたんだけど、

やはり大丈夫ではなかったみたいだねと言われてしまう始末です。


それを聞いた私は慌てて否定しようとしたのですが、その前に彼からある提案をされたことで、何も言えなくなってしまいました。

それは、私と一夜を過ごしたのだから責任を取って欲しいというものです。


「もし、それが嫌ならば、今すぐこの部屋から出て行ってくれ」

と言って来たからです。


それに対して、どうしてそんなことを言うのかと尋ね返すと、返ってきた答えは意外なものだったと言います。

というのも、彼自身は別に私のことが好きでそうした訳ではないらしいので、ただ単に性欲を満たしたかっただけなのだとか、

それに、私の他にも本命がいるそうで、その人のために練習をしたいという理由もあるみたいですが、

それでも構わないのならという条件付きで受け入れてくれるならという話なのですが、私は悩むことなく即答します。


なぜなら、私にとって彼が唯一の存在であり、他の女性達など眼中にないのですから当然ですよね、なので迷う事なく受け入れることにしたのです。

すると、彼は嬉しそうな表情を見せると、私をお姫様抱っこで抱き上げて寝室まで運んでくれた後、ベッドの上に優しく下ろしてくれました。

そうして、お互いに見つめ合ったところで、ゆっくりと顔を近づけて来たかと思うと、そのまま唇を重ね合わせて来ると同時に、

舌を絡め合わせてきて、私もそれに応える形で絡め合わせること数分が経過した頃でしょうか、不意に唇が離されると、今度は首筋や鎖骨付近に舌を這わせてきました。


その感触に思わず声を上げてしまいます。

そんな私に対して、さらに追い討ちをかけるようにして耳元で囁いてくるものですから、

私は堪らず身を捩らせてしまうのですが、それを許さないとばかりに押さえつけられてしまって身動きが取れなくなってしまうだけでなく、

両手の自由を奪われてしまっているために抵抗することも出来ずにいると、突然、胸元に吸い付かれてしまいます。


「やめて! 怒るよ!」

「ごめん、でもどうしても我慢できなかったんだよ、君があまりにも可愛すぎるからいけないんだ、

だから許してほしい、その代わりといっては何だけど、もっと気持ちよくしてあげるからさ、ね?」


そう言ってきたかと思えば、いきなりキスされるのです。

そのキスは甘くて蕩けるようなキスだったのです。

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