第12話 十二
「君はこういう下着を穿いているんだね」
「変ですか?」
そう問いかけると、首を横に振った彼は、優しく頭を撫でてくれた後、耳元で囁くようにしてこう言ってくる。
「そんなことはないよ、むしろ凄く似合っていると思う、可愛いよ」
その言葉を聞いた瞬間、嬉しさが込み上げてきた私は、満面の笑みを浮かべながら頷くと、
再び裾を持ち上げると、今度は反対の手を添えるようにして、さらに上へと引き上げていった。
やがて、完全に丸見えになったところで手を止めた私は、恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤に染め上げながらも、
何とか耐えようとしていた時、不意に声をかけられた私は、反射的に顔を上げると、その瞬間、唇が重ねられてしまい、
驚きのあまり目を見開いたまま固まってしまう。
(え、どうして……)
そんなことを考えている間にも、強引に舌をねじ込まれてしまい、口内を掻き乱されていくうちに、
次第に頭がボーっとしてきて、何も考えられなくなった頃、ようやく解放された私は、
その場に崩れ落ちるように座り込んでしまった。
それを見た彼は、心配そうな表情で手を差し伸べてきてくれたので、その手を掴んだ私は、
そのまま引っ張り上げてもらうと、何とか立ち上がることができたものの、そこで限界を迎えたのか、
倒れ込んでしまいそうになったところを優しく抱き留められたことで、なんとか踏みとどまることができたのでした。
その後、しばらく休憩した後で、次の場所へ移動することになったのですが、
その時には既に日が暮れかけていたこともあって、私たちは急いで移動することになったのです。
そうして、到着したのは、とある高級宿の一室だったのですが、部屋に入るなり、
いきなりベッドに押し倒されてしまった私は、これから何が起こるのだろうと思いながらも、
期待に満ちた眼差しを向けていると、それに気づいた彼が、笑顔でこう言ってきました。
「愛しているよ、キスしよう」
「はい、喜んで!」
その言葉に頷いた私は、目を閉じて待ち続けた結果、キスを味わうことができて大満足です!
その後も、何度も繰り返し唇を重ねていると、段々と気分が高揚してきた私達は、抱きしめながら眠りにつくのです。
「おやすみなさい、また明日ね」
そう言って眠りについた私は、翌朝、目を覚ますと同時に、隣に寝ているはずの彼がいないことに気づき、
周囲を見回してみたのですが、どこにも姿が見当たらないことに気づいた私は、不安になってベッドから起き上がると、
部屋の中を探し回ることにするのだった。
しかし、いくら探してみても見つからないことから、もしかしたら先に起きてどこかへ行ってしまったのかもしれないと思った私は、
とりあえず着替えを済ませてから、部屋を出てみることにしたのです。
そうすると彼が何故か窓際にいるのですが、ぼぉ~っと立っているだけで何もしてないのです。
そんな私は彼に声をかけるの。
「どうしたんですか?」
「ん? いや別に何でもないさ、気にしないでいいよ」
(あれ、いつもと様子が違うような気がするんですけど……)
そう思いながら首を傾げてみたものの、特に変わったところは見当たらなかったこともあり、
気のせいだろうと思い直して、その場を後にした私ですが、しかし、すぐに彼が私の後を追いかけて来て、
「何処へ行くんだ? 君は俺の婚約者なのだから傍にいなさい」
って言いながら抱きついてきたので、思わずドキッとした私は、慌てて離れると、誤魔化すようにしてこう言った。
それを聞いた彼は、不満そうな表情を浮かべていたけれど、渋々といった様子で頷いてくれたのを見てホッとした私は、
ホッと胸を撫で下ろした後で、改めて彼と一緒に部屋へ戻ることにしたのだった。
それからというもの、朝食を終えた後は、部屋でのんびりと過ごしながら、時折、キスをしてみたりしてイチャイチャしていたんだけど、
そんな私たちの元へやってきた宿主さんが、こんなことを言い出したんです。
「お二人さん、熱いな~、見せつけてくれるな」
「えへへ、羨ましいでしょ~」
そう言って得意げに胸を張りつつ自慢げにしていると、その様子を見ていた彼が、
ムッとした表情で睨みつけてきたので、慌てて取り繕うことにした私でしたが、
どうやら手遅れだったようで、機嫌を損ねたままそっぽを向かれてしまいました。
そして、その様子を見ていた宿主さんは、苦笑いを浮かべた後で、私に話しかけてきたのです。
その内容というのが、実はこの宿には露天風呂があるらしく、一緒に入ってみてはどうだという提案だったので、
最初は遠慮したんですが、折角だからということで勧められたので、お言葉に甘えることにしました。
それで早速、行ってみることになったわけですけど、脱衣所に入った途端、突然、後ろから抱きしめられたことで驚いた私が振り返ると、
そこには、婚約者の彼がいて、こう言われるの。
「やっぱりやめよう」
それを聞いて首を傾げた私は、理由を聞いてみることにしたんです。
すると、返ってきた答えは意外なものでしたが、それでも納得できない私は、
食い下がると、彼は困った様子を見せながらも、ゆっくりと口を開きました。
「だって、君が可愛すぎるから他の男に見られたくないんだよ、わかってほしいな」
そう言った彼の言葉を聞いた瞬間、嬉しくてたまらなくなった私は、満面の笑みでお礼を言うと、
彼の手を引いて露天風呂へと向かうことにします。
そして、脱衣場で服を脱ぎ終えた後、二人で中へ入ると、洗い場まで移動した後で、まず初めに身体を洗おうとした時のことです。
不意に背後から抱き締められて身動きが取れなくなった私は、戸惑いつつも、顔だけを後ろに向けて、こんなことを尋ねてみました。
「あのー、どうかされたんですか?」
それに対して、無言のまま首を横に振るだけだった彼に対して、困り果てた私がどうしようかと考えていたその時、
ふいに彼の手が下の方へ伸びていくのを感じた私は、咄嗟にその手を掴んで叩くのです。
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