第11話 十一
「これ、どういうこと?」
戸惑いを隠しきれないまま問いかけた私に対して、しばらく黙っていた彼だったが、
やがて覚悟を決めた様子で頷くと、ゆっくりと口を開いてこう言ってきた。
その内容とは、こうである。
まず、この写真を撮ったのは、以前付き合っていた相手であり、しかもその相手は、私と顔が瓜二つだったらしい。
そんな相手のことをどうやら好きだったらしく、ある日、二人で出かけた際に立ち寄った場所で偶然出会った相手が、
私にそっくりだったという話だが、 それでも最初は半信半疑だったため、その場では何も言わなかったのだという。
しかし、日を追うごとに記憶が鮮明に蘇ってきて、確信を得たところで思い切って訊ねてみたところ、
あっさりと認めてくれたので、そのまま交際に発展していったのだと教えてくれたのである。
それを聞いて納得している私に向かって、彼はさらに話を続けていく。
それから程なくして別れた二人は、別々の道を歩むことになったけれど、お互い嫌いになったわけではなく、
今でも時々連絡を取り合っているとのことなので、それだけ親しい間柄であったことが窺えるとともに、
羨ましくもあったので、素直にそう伝えると、彼はこう返してきた。
曰く、当時はお互いに好意を抱いていたものの、結局は友人としての付き合いに留めておいた方がお互いのためになると考えて、
そういう結論に至ったのだそうです。
しかし、今の関係を続けていけば、いずれは恋人同士になる可能性だって否定できないとのことだった。
それを聞いて嬉しく思う反面、同時に不安も覚えることになった私は、
複雑な気持ちを抱えたまま、黙り込んでしまうのだった。
(本当にそれでいいのかな……?)
そんなことを思い始めた矢先、不意に彼から声をかけられて驚いた私は、慌てて彼の方へ顔を向けた直後に、
いつの間にか近づいていたことに気づいて、思わず身構えてしまったものの、すぐに距離を取ると、
警戒しながら睨みつけるようにして見つめ返した直後、彼が言った一言によって、
それまでの緊張感など一瞬で吹き飛んでしまった。
何故なら、それは私にとって、まさに青天の霹靂とも言える出来事だったから。
なんと、私と一緒にいたいという理由で、両親を説得して一人暮らしを始めることに決めたというの!
それを聞いた瞬間、喜びで胸がいっぱいになり、気づいた時には、涙が溢れ出していました。
そんな私を心配して声をかけてくれた彼は、優しく抱きしめてくれると、
落ち着かせるように背中をさすってくれたのですが、それが余計に涙を溢れさせる原因となってしまい、
しばらくの間、泣き止むことができませんでした。
(嬉しすぎて泣くなんて、初めてかも……)
そんなふうに思いながらも、何とか落ち着いた頃合いを見計らって離れると、改めてお礼を伝えた私は、
これからもずっと一緒だということを約束してくれた彼の言葉を信じて、共に歩んでいくことを決めたのであった。
そうして、この日を境にして、私たちの関係は大きく変わっていくこととなり、 それと同時に、
新たな人生の幕開けとなる記念すべき一日となったのだった。
それからというもの、私と彼は婚約関係になっており、本当に後は結婚するだけなのです。
それで私は今、彼とイチャラブデート中なのです。
「ねぇ、見てよ! ほら、あそこにいるカップルなんか凄いね」
そう言って指差した先には、とても仲睦まじい様子で歩いている一組の男女の姿があった。
それを見て、私は思わず呟くように言った。
「……いいなぁ、私もあんな風になりたいな……」
すると、それを聞いた彼がすかさずこう言ってきました。
「それなら、俺がしてあげるよ!」
自信満々といった様子の彼に、少しだけ意地悪をしてやろうと思った私は、こう言ったのです。
「……でも、貴方がしたいだけじゃないんですか?
本当は、聖羅のことが好きだとか思ってるんじゃないですか?」
その言葉を聞いた途端に、明らかに動揺しているのがわかったので、クスクス笑っていたのですが、
そんな私の様子を見た彼は、
「なっ、何を言い出すんだ!? そんなわけないだろ!」
慌てて否定した後、必死になって弁解してきたので、その様子を眺めていた私は、
遂に堪えきれなくなって、声を出して笑ってしまった。
そんな私のことを恨めしそうに見てくる彼に、私は謝罪した後でこう続けることにした。
「ごめんなさい、冗談ですよ」
そう言って、笑顔を浮かべながら軽く頭を下げた私に対して、
未だに不満そうな表情を浮かべていた彼でしたが、それでも気を取り直したのか、
気持ちを切り替えた後で、私に声をかけてきたのです。
「……まったく、君にはいつも驚かされるよ。それより、今日はどこへ行きたい?」
その問いかけに、少し考え込んだ後で答えた。
「そうですね、せっかくですから、ゆっくりできるところがいいですね」
私の意見を聞いて頷いた彼は、早速、どこにするかを考え始めると、
しばらくして、目的地が決まったようで、そこへ向かうために歩き出した。
そして、到着した場所というのが、魔法館という所で、中には、魔法の体験コーナーがあるらしく、
実際に魔法を使えるわけではないが、雰囲気だけでも楽しめるということで、ここで一休みすることにしたのだった。
建物の中に入るなり、目の前に広がった光景を目にした私は、感動のあまり言葉を失ってしまった。
というのも、そこは、まるで別世界のように感じられるほど幻想的で、夢のような空間が広がっていたからなんです。
そんな中、目を輝かせていた私に気づいたのか、クスッと笑った彼が、 突然、手を繋いできたかと思うと、
そっと指を絡めてきたことで、心臓が高鳴るのを感じた私は、慌てて手を離そうとしたのだけれど、
しっかりと握りしめられていて離すことができなかったため、仕方なく諦めてされるがままになっていることにしたのです。
「殿下、キスして下さい、お願いします」
「えっ? どうしたの急に、君の方からそんなこと言うなんて珍しいね、何かあったのかい?」
心配そうに顔を覗き込んできた彼に対し、私が答える前に、
その答えを察したらしい彼は、優しい笑みを浮かべてこう言ってくれたんです。
「わかったよ、それじゃあ、目を閉じてもらえるかな?」
言われた通りに目を閉じた後、少しの間待っていると、唇に柔らかいものが触れました。
(ああ、幸せだなぁ)
そんなことを考えながら、うっとりとしていたその時、不意に口の中に何かが入ってきたことに驚いて目を開けると、
そこには、悪戯っぽい笑みを浮かべた彼の顔が間近にあって、咄嗟に離れようとしたものの、
頭の後ろに回された手に押さえつけられてしまって動けなかった私は、為す術もなく、なすがままにされているしかなかった。
そして、ようやく解放された頃には、すっかり息が上がっていて、涙目になりながら肩で息をしている私に向かって、
彼は、こんなことを言ってきた。
「人目のつかない所へ移動しようじゃないか」
「はい、わかりました」
そう返事をした私は、彼の後に続いて歩き始めたのだが、このまま幸せでいいのかなって考えていると
気づいたら人目のつかない場所におりまして、彼からこう言われる。
「君の穿いている下着を見せてくれないか?」
「ええ、いいですよ」
そう返事をしてから、スカートの裾を両手で摘んでたくし上げると、それをゆっくりと持ち上げていく。
すると、少しずつ露わになっていく下半身を見つめながら、ゴクリッと唾を飲み込む音が聞こえてきたので、
そちらへ目を向けてみると、興奮を抑えきれないといった感じの彼が、食い入るように見つめていた。
そんな彼の反応を見て、嬉しくなった私は、
「もっと私の下着を見て」
「うん、わかった」
嬉しそうに頷いた彼が、更に顔を近づけてきて凝視してくると、その視線を感じた私は、
それだけで嬉しく思い、笑みを浮かべているのです。
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