第4話 四

「わぁ~!」

部屋の広さはそこまでではないものの内装はかなり凝っており、一目見ただけで高価なものだとわかるものばかりが置かれていたため、

つい興奮してしまい声を上げてしまうほどだったわ。


それにしてもこの部屋、どこかで見たような気がするのだけれど気のせいかな……?

そんなことを考えながら待っていると、奥の扉が開かれて中から殿下が出てきたので慌てて駆け寄ってみる。

すると、笑顔で迎えてくれながらも部屋の中へ通され、


「そこに座って待ってて」

と言われた後、お茶を取りに行ったみたいで姿が見えなくなってしまったの。


その間暇なので部屋の装飾を見てみるとどれも高そうな物ばかりな上、置かれている花瓶には花が生けられているのが見えたので、

もしかしたらここは王族専用のサロンなのかもしれないと、考えついたものの確証はないため口にするのはやめておくことにしたわ。

それから少しして戻ってきた殿下はティーカップを置くと、私の前で跪き手を差し出してきたのよ!


突然の行動に驚いて固まっていると、微笑みながら口を開く。

その言葉を聞いた瞬間、私の心臓は大きく跳ね上がり顔は一瞬で真っ赤になったのがわかったわ……だって、


「愛してるよ、ずっと俺の傍にいてほしい……」

ですってぇえええ!


まさかこんなストレートなお言葉を言われるとは思ってなかったからかなりビックリしちゃったわ。

というか、これは夢なのかと思って自分の頬をつねってみたんだけど痛かったし何より現実だとわかったので、

嬉しくて涙が溢れ出てしまったの。


そしたら殿下が慌て始めちゃったんだけど、私は泣き笑いしながらこう言ったの。


「……はいっ!」

それを聞いた彼の顔は満面の笑みに変わり、私を抱きしめるとキスをしてくれたんだけれどもこれがもう最高でね~!


「ちゅっ……ちゅっ……」

何度も何度も啄むようなキスをしてくれたり、舌を絡ませる大人のディープなものまでしてくれちゃってねぇ、ああ幸せっ!


そんな至福の時を過ごした後、名残惜しみつつも離れた私達は手を繋ぎながら王城へと向かったわ。

その道中でお互いの事を色々と話したりして盛り上がったのよね。


「へぇー、じゃああの噂は本当だったんだぁ~」

そう言って感心していると、彼は苦笑いしながらもこう言ってくれたの。


それは私の前世についてなんだけど、どうやらこの世界とは違った世界から来た人間だったみたいなんだよね。

まあ、実際に転生しているわけだし信じるしかないんだけどね。

でも、一つ気になることがあるとすれば、どうして前世の記憶があるのかってことなんだよね。

もしかして神様の仕業だったりするのかなって思ったけど、真相は不明のままね。


そんなこんなで話しているうちにあっという間に城に到着したので、門番さんに挨拶をしてから城内に入ると、

まずは着替えるために用意された部屋へ案内されたの。

そこでメイドさん達による着せ替え人形になってしまったわけだけど、


「お嬢様、次はこちらのドレスを着てみましょうか?」

そう言われて渡された服を見て思わず顔が引きつってしまったわ。


なぜなら、手渡された衣装というのが露出の多いものだったから!

それも背中が大きく開いたデザインになっていて、スカートもかなり短いうえにスリットが入っており、

少しでも動くと見えてしまいそうなくらい際どい代物だったの。


流石にこんなの着れないと思った私は断ろうとしたんだけど、彼女達の有無を言わせない雰囲気に押されてしまい、

結局着る羽目になっちゃったのよね……はぁ、憂鬱だわぁ~。

その後、着替えてみると意外と似合っていたので驚いたものの、鏡に映った自分を見ているとなんだか恥ずかしくなってきて

顔を真っ赤にしながら俯いている。


うぅ、恥ずかしいよぅ……。

すると、いつの間にか傍に来ていた殿下に手を握られたので顔を上げてみると優しく微笑んでくれた上に、

そのまま手の甲に口付けてきたものだからさらに顔を赤くしてしまうことになったわ。


すると今度は頬に手を添えられて再び唇を塞がれてしまうと、今度は舌を使って口内を犯してきたの。

予想外の行動に驚いていたものの、嫌じゃなかったので受け入れることにしたのだが、すぐに頭の中が真っ白になって何も考えられなくなったのであった。

それからしばらくしてようやく解放された時には、すっかり力が抜けてしまって動けなくなってしまっていたが、

そんな私を支えてくれるかのように抱きかかえてくれたので感謝の気持ちを込めて抱きしめ返すことにしたのだった。


そしてしばらくの間抱き合った後、私達は手を繋いで歩き出したのである。

そうしてしばらく歩いたところで目的地である街が見えてきたため、一旦休憩するべく近くの公園に寄ることにした私達は、

ベンチに座ることにしたのだった。

ふぅ、ようやく落ち着けるわ。


そう思っていると、


「んっ……」

いきなり何かに足を引っかけてしまったようでバランスを崩してしまったみたい!


しかし、倒れないように咄嗟に手を伸ばしてくれる人物がいたおかげで事なきを得たのだった。

そのことにホッと胸を撫で下ろした私は、助けてくれた相手の顔を見るために顔を上げる。


「ご、ごめんなさい……」

「いえ、こちらこそ申し訳ございませんでした!」

そんなやり取りの後、お互い頭を下げて謝罪の言葉を口にすると、顔を見合わせて思わず笑ってしまう私達。


「殿下、そのね、あのね、キスして欲しいの」

「うん、いいよ」

そう答えるや否や彼は唇を重ねてきて舌を絡め合わせてくる。


私もそれに応えるように彼の背中に腕を回した直後、彼はゆっくりと離れていったので残念そうな顔をすると、

それを見た彼は笑いながら言ってきた。


「そんな顔をしてどうしたんだい?」

そう聞かれた私は正直に答えたところ、何故か抱きしめられて何度もキスされてしまったの。


しかも触れるだけの軽いものじゃなくて濃厚で深いキスもしてくれて嬉しかったなぁ。

それにすごく気持ちよかったしね~。

しかも、その後も何度かしてもらっていたら気持ち良くなってきちゃって気付いたらキスだけで感じていたしね。

恥ずかしかったけど、それ以上に気持ち良かったから気にしなかったわ。


そんな感じで幸せな時間を過ごしていたら、


「聖羅様、お食事の準備ができました」

と声をかけられて、慌てて離れる私と彼なのだった。


その後は二人で仲良く食事を摂った後でデザートとしてケーキを食べようとした時、

フォークを落してしまったことで慌てたものの無事に取り戻すことができたのだった。


ちなみにこの時落としていたのはわざとであり、彼が拾って渡してくれる時にさり気なく身体を密着させてみたりしたけど、

反応が薄かったのが少し寂しかったかな……だけど、気を取り直してから一緒に食べようとしたら彼に、

止められてしまった挙句の果てに断られてしまいショックを受けていると、更に追い打ちをかけるような言葉が返ってきたの。


その内容を簡単に説明するとこんな感じになるわね……。

まず最初に私が使ったスプーンをそのまま使うのが嫌だと言われてしまい、仕方なく新しいものを用意させたのだけれど、

その時の表情が少し辛そうに見えて気になったのよね……。


なので思い切って聞いてみたんだけど、何でもないと言って教えてくれなかったのよ……だから、しつこく聞くことはせずに引き下がることにしたの。

そうしたらホッとしたような表情を見せたと思ったら急に立ち上がってどこかに行ってしまったの!?

あまりにも突然のことだったため呆気にとられてしまっていたのだけど、少しして戻ってくるなり突然抱きしめてきたことに驚いて何も言えずにいると、

彼はそのまま話し始めたのよ。


曰く、最近疲れが取れなくて辛いということらしく、それを聞いて納得できたと同時に心配になった私は、

なんとかしてあげたいと思い考えた結果膝枕してあげることにしたの。

それで彼を膝の上に乗せるようにして寝かせると、頭を撫でながら労わってあげたというわけなのよ!

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