第3話 参
翌日、目が覚めると、隣には殿下がまだ寝息を立てて寝ているので私はこっそりと殿下を唇に口付けを交わす。
「ちゅっ……」
すると、彼の目がゆっくりと開いていくのが見えたので、急いで顔を離したの。
幸いにも気付かれなかったみたいでほっとする。
その後、私は何事もなかったかのようにベッドから降りると、朝食の準備をするために厨房へと向かったのでした――。
それから数時間後、私達はいつものように食堂で食事をしていたの。
すると、殿下が声をかけてきたので、私は返事をしたわ。
すると、殿下は真剣な眼差しでこちらを見つめてきたの。
一体どうしたんだろう?
何か重要なことでもあるのだろうか?
そう思いつつも彼の言葉を待っていると、とんでもないことを言いだしたの。
「聖羅、俺は君を愛しているんだ」
「はい、私も愛していますよ、殿下」
何を今更当たり前のことを言ってるんだろう?
そんな疑問を抱きつつ、答えるとさらに言葉を続ける。
それを聞いた瞬間、私の頭は真っ白になったの。
え? 今何て言った? 愛している? 誰が誰のことを?
混乱する頭の中で必死に考えていると、いつの間にか彼が私の目の前に立っていた。
そして、再び私に向かって告白してくる。
それも今度は愛の言葉でだ。
正直言って信じられなかったけど、それでも嬉しいという気持ちがあったことは否定できない事実だった。
だからだろう、無意識のうちに頷いていたみたい。
それを理解した彼は嬉しそうに笑った後、再び唇を重ねてきたの。
その直後、頭の中に靄がかかったように何も考えられなくなったけど、不思議と嫌な感じはしなかった。
むしろ、もっとして欲しいと思ったくらいだわ。
ああ、これが恋をするということなのね……。
そんなことを思いながら、私は彼と何度も唇を重ね続けたの。
「んっ……んっ……はぁ……んっ……はぁ……はぁ……」
どれだけの時間が経過しただろうか、ようやく解放された頃には、すっかり力が抜けてしまっていたわ。
もう立つことすらままならない状態だったので、その場に座り込んでいると、心配した様子の殿下が手を差し伸べてくれたので、
ありがたくその手を取らせてもらうことにしたの。
だけど、立ち上がることはできたものの、足に力が入らずフラフラしてしまうので、仕方なく彼に寄りかかることにしたわ。
すると、彼は優しく抱きしめてくれたので、私もお返しに抱きしめ返すことにしたの。
しばらくそうした後、私達は手を繋いで歩き始めたわ。
まるで恋人のように仲睦まじくね!
その後は他愛もない会話をしながら歩いていたんだけど、
「きゃっ!」
いきなり何かに躓いて転んでしまったの!
しかし、そんな時に殿下が咄嗟に両手で身体を支えてくれて、本当に嬉しくも思い、私は顔を真っ赤にしているの。
「大丈夫か?」
心配そうな表情をしながら聞いてくるものだから、私はすぐに答えたわ。
「大丈夫です、ありがとうございます」
そう言うと、私は自力で立ち上がったの。
だけど、何故か足元を見るとそこには小さな穴が開いていたわ。
恐らくそこから足を滑らせてしまったのだろうと思い、私は穴を埋めてから改めて歩き出すと、
今度は別のものに躓いてしまったの。
そして、またしても転びそうになったところを殿下が受け止めてくれると、そのままお姫様抱っこをしてくれたの。
これには思わず胸がときめいてしまうわね。
ああ、なんて素敵な人なのかしら……!
そう思った直後、彼は顔を近づけてくるとキスをしてきたの。
しかも舌を入れてくるという大胆な行動を取ってきたので驚いたけど、それ以上に嬉しかったこともあって受け入れることにしたわ。
だって好きな人からのキスなのよ?
断る理由なんてあるはずがないじゃない!
最初は驚きのあまり固まってしまっていたけど、次第に頭が蕩けてきて何も考えられなくなっていったの。
やがて、互いの唾液を交換しあうような濃厚なものへと変わっていき、息が苦しくなって離れようとしたら、
逃さないとばかりに後頭部を押さえつけられてしまい、完全に逃げ場を失ってしまったわ。
「んんっ!?」
突然のことに驚いていると、口の中に何かが侵入してきて、口内を犯し始めたの!?
何これ!?
すごく熱いものが口の中を蹂躙していくのがわかる!?
それがとても気持ちよくて、ついついされるがままになってしまうのだった。
しばらくしてから解放されるも余韻に浸っていると、不意に彼が話しかけてきたの。
「聖羅、このまま王都内でデートしようか」
「はい!」
即答してしまったけれど、後悔はなかった。
それよりも何よりも初めての二人きりで過ごす時間なんだから楽しみたいと思っていたしね。
そんなわけでさっそく移動することにしたのだけれど、ふと気になったことがあったので聞いてみたの。
なんで私達が歩いているだけなのに周りが騒がしいのかって……。
不思議よね~、ただ街中を歩いているだけだというのに何故こんなにも騒々しいのか全くもって理解不能だわ……。
そう思いながら首を傾げていると、殿下が答えてくれたの。
なんでも私が原因らしいのだけど全く心当たりがないのよね……どういうことなのかしら?
そんなことを考えているうちに目的の場所に着いたらしく、殿下が扉を開けてくれると同時に中に入っていくのを見て、
慌てて追いかけるように入室したわ。
「うわぁ……!」
中に入ると、感嘆の声が自然と漏れていたの。
何故なら中はとても綺麗で、どこを見ても美しい花々や調度品が置かれており、それらすべてが高級感を漂わせているだけでなく、
見る者の目を楽しませてくれているからだった。
そんな素晴らしい光景に目を奪われながら進んでいくと、やがて一番奥の部屋へと辿り着いたところで足を止めると、
ここで待っていてと言われてしまったため素直に待つことにする。
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