第2話 弐

それから、何度も唇を重ねられ、


「んんっ、ちゅっ、はぁ、んむっ、れろっ、ちゅぱっ……」

その度に、体の力が抜けていくような感覚に陥るの。


それがとても心地よくて、癖になってしまいそうだわ。

ああ、だめ、これ以上されたら、おかしくなっちゃう。

そう思った瞬間、殿下の口が離れていったの。

ああ、よかった。


「聖羅もっとキスしよう」

「うん、いいよ、いっぱいして?」

殿下の舌が口の中に入ってくる。


舌同士が絡み合い、お互いの唾液を交換するような濃厚な口付けを交わす。

気持ちいい……。

頭がふわふわして何も考えられない……。

どれくらい経っただろうか、名残惜しそうにしながら、互いの口を離したの。

二人の間に銀色の橋がかかる。


それを見ただけで、顔が真っ赤になるのがわかる。

だけど、それ以上に幸福感の方が勝っていた。

ああ、幸せ……。

こんな時間がいつまでも続けばいいのに……。


そう思っていたのだけど、不意に殿下が話しかけてきたの。


「聖羅、今日はもう遅いから、そろそろ寝ようか」

えっ、まだ早いと思うけど……。


そう思い、時計を見ると、確かにいつもより遅い時間になっていたので、素直に頷くことにした。

そして、私達は一緒にベッドへと入ったの。

殿下が私を抱きしめてくれる。

とても温かくて、気持ちがいい。


だから、私も抱きしめ返す。

そして、互いに見つめ合うと、自然と顔を近づけていき、キスをした。

最初は軽いものだったけど、段々と激しくなっていったの。

舌を絡めたり、歯茎を舐め回したりと、激しい行為が続く。


「んっ、ふっ、んん~~~~~!?」

あまりもの激しさに驚いてしまい、思わず離れようとするも、頭を抑えられているため、離れることができなかった。


むしろ、より深くなっていき、口の中を蹂躙される。

そして、しばらくすると満足したのか、ようやく解放してくれた。

荒い呼吸を繰り返しながら、私は彼を睨みつける。

だけど、彼は全く気にした様子はなく、余裕のある表情を浮かべていた。


それが少し悔しくて、今度は私からキスをする。

だけど、それはすぐに防がれてしまった。

なんで!?

どうしてなの!


私がそう思っていると、彼が口を開いた。


「聖羅、どうして欲しいか、言って」

「そ、そんなの言えません!」


言えるわけがないじゃない!

恥ずかしすぎるわ!

そんな私の心を見透かしたのか、彼は意地悪そうな表情を浮かべると言ったの。


「……なら、やめるか?」

その言葉に思わずドキッとする。


やめられるなんて嫌に決まっているわ!

だけど、そんなこと言えない……。

ああ、どうすれば……!

もうこうなったら、覚悟を決めるしかないわね!

ええい、どうにでもなれ!

そう思って、私は彼に言った。


「……してください」

すると、彼は満足げな表情を浮かべた後、私に覆いかぶさってきたの。


「きゃっ!」

突然の行動だったため、びっくりして声を上げてしまう。


そして、彼の顔が近づいてくるのを見て、私は目を閉じたの。

直後、唇に柔らかい感触が伝わってきたの。

そして、次の瞬間には、口の中に何かが侵入してきたのがわかったわ。

それと同時に、甘い味が広がっていく。


これは一体何かしら?

わからないけれど、凄く美味しいわ!

もっと味わいたいと思い、舌を絡ませてみる。

そうすると、彼もそれに応えるように絡めてくれたの。


それが嬉しくて、つい夢中になってしまう。

やがて、息が苦しくなってきたため、一旦口を離すと、


「ぷはっ……!」

と大きく息を吐いたわ。


はあ、苦しかったぁ~。

でも、気持ちよかったなぁ~!


「ありがとう、殿下、もう寝ましょう」

そう言って、殿下と一緒にベッドに横たわったの。


だけど、なかなか眠れなくて困っていると、殿下が話しかけてくれたの。

どうしたのかなって思っていたら、急に抱きしめられてびっくりしたわ。

もしかして、眠れないから抱き枕の代わりにされたのかなって思ったんだけど違ったみたい。

殿下は私の耳元で囁いたの。


「このまま抱きしめてあげるから、寝るといいよ」

ってね。


そんな優しい言葉をかけられて嬉しくなった私は、笑顔で答えたわ。

すると、殿下は微笑んでくれた後、私の頭を撫で始めたの。

その心地よさに眠気を誘われるも、なんとか耐えていると、今度は額にキスをされてしまったわ。

その途端、体に電流が流れたかのような衝撃を受けたの。


その衝撃で頭の中が真っ白になってしまった私は、呆然としていると、今度は頬にもキスをされてしまう。

そして、そのまま首筋まで下りていったところで、我に返った私は慌てて彼を押し返したわ。

もう駄目です、限界です。

これ以上されたら、おかしくなってしまいます。


そう心の中で叫ぶも、彼には届かないようで、再び迫ってくる。

ああ、もう駄目なのかしら……?

諦めかけたその時、殿下の動きがピタリと止まったの。


「ふふっ、冗談だよ」

どうやら私をからかっていたみたいね。


本当にやめてほしいものだわ。

こっちは心臓が破裂しそうなくらいドキドキしているというのに、

当の本人は全く気にしていないのだから、ずるいと思うのよねぇ……。

まあ、そこが可愛いところでもあるのだけれど……。


それに、たまにこうして仕返ししないと気が済まないのよね。

私だってやられっぱなしじゃいられないんだから!

そう意気込んでみたものの、結局返り討ちに遭ってしまうのだけれども……。

うぅ、悔しい……。

だけど、いつか必ず見返してみせるわよ!

覚悟しておいてよね!


そうして、私と殿下は眠りにつくのであったの。

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