第4話 不義とか言うんじゃない!

「それはつまり、私という婚約者がありながら殿下は不義をしているという事ですね」

「なっ!? 言うに事欠いて不義だとぉ!! ボクらの真実の愛を侮辱するなぁっっ!」


 目をくわっと見開いて目力で圧迫してやる!

 だがヤツってば平気の平左でしゃらくさいことをほざく。


「それが殿下の錯覚であるか気の迷いであるか、はたまた真の真実の愛であるのかは私には判りかねますが」

「お前のようなハートが欠落した女に判るはずがなーい!」

「それは殿下とテレーズ嬢が男女の交際をしているという宣言であり、正当な婚約者である私がいながら、他の女との情に流されるままに、正当な契約を破ったという宣言でしかありません。

 王家が結んだ契約を破るといいうことは、王家への反逆とみなされます」


「なっっ」


 なにを言い出すんだこいつは!

 ボクが! このボクが悪いみたいじゃないかっ!

 悪いのは真実の愛を妨害するお前に決まっているのにっ!


「大法典によれば、王家に対する反逆は、その軽重によって、死罪、財産没収、追放と決まっております。

 殿下は王家の人間。までは後継者でもありましたから、死罪から罪一等を減じられて、廃嫡、追放といったところでしょう」


 ボクは激怒した。


 なんだこいつは! せっかくボクが王者のやさしさを示したというのに!

 こうなったらこいつの罪をぶちまけて破滅させてやるっ!


 うらむなよ! お前が悪いんだからな! 


「情けをかけてやればつけあがりおって! お前には罪がある――」

「私が不正不義をなしていたと告発するのはおやめになったほうがよろしいかと」



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