エピローグ
130年。
それだけの時が立てば人類もまた、いつもの日常を取り戻していった。
【今朝のニュースです。アメリカ、ロスエンジェルスにて暴動が発生しました。暴動の原因となったのは悪魔神教司祭であるマイケル・メッセンジー氏の説法の内容に虚偽が混じっていると反発した黒人団体“ブラック・ゴッデス”のメンバーによる同氏への暴行でした。】
そんなニュースを聞いているのは老人だと言うのに、妙にしっかりと背筋を伸ばした老女だった。
「本当に、馬鹿みたいですねぇ……神も悪魔も“黒い”って頭に付けるからこんなことになるんでしょうに。」
「おばあちゃーん!また暴動だって!」
小さな子供が駆けよってくる。
それをシスター服に身を包んだその老女が受け止め、優しく撫でる。
「本当に、悪魔神教なんてものを作った頃の話を、誰もきちんと教えないもんだからこうなるんですよ。“推し”の神様くらい少しはちゃんと調べようと思いませんかねぇ……。」
「おばあちゃん!本当に黒い神様と黒い悪魔は黒人なの?」
「本当に馬鹿だねぇ……あの二人は馬鹿な人、それでいいじゃないか。ねぇ?」
「ねぇってばー!」
「おばあちゃん長生きなんでしょー?お母さんがおばあちゃんに聞いてきなさいって!」
「アルア様にはなかなか会えないけどおばあちゃんには行けば教えてくれるって言ってたー!」
「ほらほら、そこに座ってちゃあんと聞くんだよ。あなた達の“推し”の神様になるかもしれないんだから。」
そう言って老女は分厚い本を取り出す。
その背表紙にはその本のタイトルが。
【Chocolate Candy 出版:悪魔神教会 著シスター・ピースフル・ワールド】
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