ep15 この世界のバグは取り除かれました

その一言は、人々の意識を変えてしまった。


【ゲームスタートだ!】


それと同時に財園がジェスへと転移して蹴り飛ばす。


「あぁ!?鬱陶しい!」


――ブゥン!


ジェスが転移を使用する。

空中、はるか上空へ。


「面倒だ!都市ごとぶっ殺してやるよぉ!」


まるで太陽のような火球を生み出したジェスがそれを更に巨大化させようと力を籠める。


「なに!?……なぜだ!なぜ賢者の石が!俺に力を寄こせ賢者の石!おい!」


「無駄だ。」


「お前!ショコレータ・ショコランティエェ……貴様何をした!何故賢者の石が力を失う!?」


「それだけじゃない、気づいているんだろう?」


ジェスは慌てて自らの体を確認する。


「何故だ!?何故神の力すら失われて……!?」


「わからないか?ニコラスが語った俺の才能。俺の強い願いが俺に称号を付与する才能。俺がこの世界に現れた時点で俺は再び【響界独神】の称号を得た。そしてさっきの【真言】が世界中へ俺と言う【神】の存在を伝えた。そしてこの世界全ての【神】への祈りが俺へ力をくれた。」


「だったら俺も“真言”を使うだけだ!」


「どうやって?お前の手の賢者の石は既に効力を失ったぜ?無限の力なんてお前にはもう存在しない!」


「どうしてだ!お前はどうして全世界へ【真言】を使えた!?その力はどこから……!」


「お前があの世界を壊したからだ。ミスティカ・アナザーワールドは滅び、その人々の“死にたくない”という感情が賢者の石を作った。俺はそれを使って肉体を作り、この世界へ転移させた。さらに有り余る力でこの世界を書き換えた。……まぁ、もう使えなくなってしまったがな?」


「だがどうして俺の賢者の石が力を失う!これはこちらの世界の人間の“死にたくない”と言う願いが……まさか!」


【これより人は死なず、老いることもない!】


【真言】で語ったその一言。


「この世界を書き換えた。そう言っただろ?ここはもう、お前の知っている地球じゃない。」


【これより、この世界はミスティカ・ゲーム・ワールドとなる!】

そう。


「まさか……まさか……!」


ジェスがその爪で自身の腕を強く引っ掻く。


「まさか……!」


その腕から流れ出た血は数秒で止まり、傷口が塞がる。


「2ダメージくらいか?」


「この世界をゲーム世界に書き換えたのか!」


「正解だ。そしてこの世界で俺は唯一信仰される神となった。」


「あ、あぁ……!」


「リスポーンのある世界で“死にたくない”なんて願いが集まるわけない、そうだろ?」


「こ、こんなはずじゃ、こんなはずじゃなかったのに!」


「さぁ、ゲームマスターの権利を行使しようか。ジェス・カーペンタリア、お前は永久BAN!リスポーンの権利を剥奪する!」


「やめろ、ヤメロォー!」


――ダァン!


神の裁きは執行された。

神の慈悲があるとすれば、ジェスには認識できないほどの速度で放たれたその蹴りが、ジェスの意識を一瞬で奪い去るほどの力だったことか。

こうして、世界は新たな神【響界独神】を得て、新たな時代を進むことになったのだった。

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