ep5 決着と影
魔族となったショコレータは既にハーマレスとの身体能力の差を埋めていた。
――ドン!
――ダァン!
――ドン!ドン!ダァン!
「リズムゲーでも始めるかぁ!?」
身体スペックに差が無ければもうショコレータが負ける理由なぞ無い。
ハーマインのメイスは一度もショコレータに触れることが出来ず、そしてショコレータの蹴りは全てハーマインに突き刺さっていた。
「がっ……あぁ、畜生!テメェなんで魔族に!」
「それならいっそこういうのもいいんじゃないか?【愚か者への罰】!」
その瞬間、ショコレータが嵌めていたもう一つの指輪が光る。
白銀の高潔なるエンゲージリング。
インセールの持っていたエンゲージリングと対になる指輪。
プロモテウスという男に対して罰を与えるなら、という思いが力になったもの。
それは単純なもの。
「……俺の羽根!俺の角!なんで、どうして!?」
天族の種族的特徴である翼と角を消し去る力。
「これでお前はただの魔術師だな?さ、立場が完全に入れ替わったところで……。」
「隊長をやらせるな!」
陣を組んでいた一人が飛び出してくる。
「馬鹿!お前ら陣を崩すな!」
「”テレポート”。」
――ズドン!
飛び出した天族の頭上から拳を叩き込んだショコレータの一撃は彼の体を砕くだけにとどまらず、地面すら大きくえぐり取った。
「そら、これでもう陣は張れねぇな?」
「クソが!だがお前だけが魔術を使えるようになったわけじゃない!」
メイスを振り上げたハーマレスの次の言葉は魔術を使えるようになったショコレータには使う前から筒抜けとなる。
「”聖なる天秤”!」「”悪辣なる天秤”!」
「なっ!?」
メイスの先に出現した天秤がその皿をドロドロに溶かしながら消滅していく。
「そら!次は”聖女の抱擁”か?それとも……。」
「”懺悔の告解”!」「”許されざる罪”!」
「そうだよなぁ!そっちだよなぁ!?」
「なんで俺の魔術がバレてんだ!?」
「おしゃべり好きなお前もこれで静かになる!終わりだ!”神の手”!」
”豊聡耳神子“によるスキルの先読みと、”真言”による魔術の自由使用・自動検索能力によって対抗魔術の検索と構築。
それによって魔術は全て無効化される事はショコレータにしか理解できるはずもない。
不可視の巨腕がハーマレスを襲う。
「畜生がぁぁぁぁぁぁぁ!」
ハーマレスを失った天族の部隊はその後抵抗と呼べるほどの抵抗もできず死亡した。
「んじゃあ、ちょっと休憩するか……。」
ログアウトの処理をしようとすると共にアナウンスが流れる。
【異世界”地球”とのリンクが切れました】
【”地球”側のアバターが見つかりません】
【ログアウトに失敗しました】
【再度ログアウトを実行します】
【……。】
【”地球”側のアバターが見つかりません】
【ログアウトに失敗しました】
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