Chocolate Candy

ep20 追走劇

――ブゥン！

――ブゥン！

――ブゥン！

連続で転移しながらシスターを蹴り飛ばそうとする財園。

そして同様にテレポートを連打して逃げる二人。

「やっぱりあなたもテレポートくらいできるわよねぇ！？……フフフ。でもシスターを連れて何度使えるかしら！？」

「POWERが足りなくなるなら私が“エクスチェンジ”であなたのPOWERと交換すればいいだけです！分が悪いのはそっちでしょう！？」

――ブゥン！

――ブゥン！

――ブゥン！

数度繰り返される転移。

そして“その時”はやってくる。

財園の目の前でショコレータが地面を蹴って跳躍した。

「POWER切れ！もう逃がさな……！」

叫ぶ財園を襲う浮遊感。

乗り物酔いのような感覚。

「“フォールン・ドーン”……！そういえばそんなスキルもあった……フフフ。さっきのセリフはブラフ！」

転移を繰り返していた結果地上200メートルほどの高さに居たのだ。

ここで平衡感覚を失い落下すれば魔術師といえど気絶は避けられない。

「やった！これで逃げ……うぇ！？」

シスターが勝利を確信した瞬間、見えたのはビルの壁面に張り付く財園の姿だった。

「蜘蛛になった気分ね。フフフ……逃がさないわ。」

”デスタッチ”による複腕でビルに穴をあけ、そこに指をひっかけロッククライミングの要領で張り付いていたのだった。

――ブゥン！

――ブゥン！

――ブゥン！

――ブゥン！

「届いた！」

繰り返し行った転移は真っ直ぐに、最短距離を通って加速する。

そうして辿り着いた二人の背後、インファイトのバフが乗った蹴りが二人を襲う。

「“俺に触れるな”！」

直撃コースだった蹴りはまるで見えない手にねじられたかのようにその形を歪め、明後日の方向へと向かう。

「ぐっ！？……なら！」

呆けたシスターの腰へと財園がその蹴りを向ける。その蹴りが当たる瞬間、黙って逃げていた男が口を開いた。

「“まずいな。”」

――パチン！

拍手のような音が聞こえたと思った瞬間にはシスターに抱えられていた男は消えていた。

シスターの脇腹に蹴りが刺さりビルへと叩きつけられる。

「え……？」

その一瞬の出来事に二人は止まり、お互いに顔を見合わせる。

「「いったい何が……？」」

その疑問の答えは沖縄にあった。

勇者アンドレ・メッセンジーとバンデット＆ペンツァーの戦いに終わりが近づいていたのだった。