ep13 二人の剣士

沖縄本土。

アンドレ・メッセンジーは舞台の中央で笑いながら飯を食べていた。


「HAHAHAHAHA!いいなぁ!日本!」


ガツガツとザンギと呼ばれる唐揚げとチャンプルーでビールをたらふく飲み干していく彼は目の前の数人の男を見て笑っていた。


「しっかしなんともまぁ!日本の魔術師は強いと聞いていたのにいざ出会ってみればこんなものとはなぁ!」


「くそぅ……。」


「死んでないだけでラッキーだべ?」


「財園グループよりいい暮らしができるかもしれねぇべ?」


「だべだべ。」


「勇者様に媚びておけばアメリカに行った後もいい暮らしができるかも?」


――ダッ!ダッ!ダッ!ダッ!ダッ!


朝日がもうじき昇るというのに、この島に足音が響く。

その足音は砂浜を蹴る音ではない。


「HAHAHAHAHA!空か!」


空中を蹴り、加速して突っ込んでくる影。

その右足がアンドレのこめかみを捉えた瞬間、アンドレが後方へと吹き飛んでいく。


――プハ!


「……当たる前に吹き飛んだ?」


ペンツァーが疑問を口にすると同時、横抱きにされていた男が叫ぶ。


「ペンツァー!舌を入れたら噛むかもしれんだろうが!馬鹿か!?」


「だってその方が真剣にキスしてくれるでしょ?ダーリン!」


バンデットは手を掲げ、スキルを発動する。


「“無刀流・砂塵”!」


瞬く間に沖縄本島全体を砂嵐が覆い隠す。


「……まずは逃げ道を潰す!」


ペンツァーから飛び降り、居合をするような構えを取ると同時、抜き放つ動作に連動して島の周囲の軍艦が全て沈む。


「HAHAHA!これはすごいな!軍艦がバターみたいに切れた!」


笑いながら戻ってきたアンドレはそう言って右手に剣を持っていた。


「やる気か?こっちは二人だぜ?」


「HAHAHA!……もう君一人だよ?」


「な!?」


周囲に居た軍人も、沖縄を防衛していた男たちも、そして。


「ペンツァー!?」


バンデット以外のすべての人間が、腹を切られて血を流していたのだった。


「HAHAHA……こっちは勇者だぞ?勇者にモブが勝てると思うか?」


「てめぇ……。」


「ダーリン……。」


「ペンツァー!?しゃべるな、傷口を抑えてろ!こいつ倒して医者に見せるから……。」


アンドレを睨むバンデット。


「待ってろ!“無刀流・黄砂”!」


その手に砂の大太刀が生まれる。

大きく踏み込むために腰を落とし、足に力を籠める。


「HAHAHA!やはり勇者と言えば強者との一騎打ち!」


その剣が光り輝く。

まるで彼自身が光っているかのように光が分散する。


「そうだろ!ジャパニーズサムライ!」

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