ep6 山口崩壊
山口県毘沙の鼻。
そこに立つ男は水平線に見えるその軍艦を見ていた。
「おいおい、たった一隻かよ?派手じゃねぇなぁ?」
バンデット自身、そこまで遠距離へ影響を及ぼすスキルが無いのでやってくるのを待つしかないのだった。
「よし!目標見えたな!デュランダル部隊、エクスカリバー部隊は配置につけ!」
「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」
――ドタドタドタドタドタ!
甲板へと大量の人間が並んでいく。
「エクスカリバー部隊!全員配置につきました!」
「デュランダル部隊全員配置につきました!」
「ハハハハハハハハ!さぁ、イギリス王室に栄光を!」
「「「「「「「「「「栄光を!」」」」」」」」」」
「ハハハハハハ!いいぞ、お前たち!この新たな時代を我らの光で切り開くのだ!」
――バッ!
兵士の1人がイギリスの国旗を掲げた。
「それでは総員、撃てぇ!」
――バッ!
旗を振り下ろすと同時、両側の偉そうな兵士が叫ぶ。
「「撃てぇ!」」
「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」
「「「「“エクスカリバー”!」」」」
青い鎧に身を包んだ者たちが一斉にその剣先を日本へ向ける。
「「「「“デュランダル“!」」」」
赤い鎧の者たちが逆側へ向けてその剣先を向ける。
――ジジジジジジジジジジジジジジ!
――ジジジジジジジジジジジジジジ!
その剣先から光の束が一筋の光となって発射される。
エクスカリバーが山口を襲い、デュランダルがカウンターウェイトのように反対側に放出される。
闇夜を切り裂き、彼等の敵を討たんと。
「目標!命中!長門市消滅を確認!下関市も半分が消滅しました!」
「ハハハハハ!よいぞ!このまま進路を変えるぞ!」
「どちらへ向かいますか!」
「もちろん、狙うは首都だ!」
「ハッ!?太平洋側へ出るにはあの狭い下関港を通ることになりますが?」
「そんなもの、もう一度撃てばいいだけのことだ!行くぞ!」
――ドッドッドッドッドッドッ!
軍艦が波を切り裂きながら進んでいく。
そしてその進路に下関市の残り半分が壁となる。
「さぁ!総員配置につけ!道を作るぞ!」
――ザザザザザザザ!
しかしその声は外へと届かなかった。
通信は途絶え、ノイズが響き続ける。
「……?機器の故障か?おい、そこの兵士!外へ伝令だ!配置につかせろ!」
「それはちょっと困るんだよなぁ?」
男の前に、バンデットが現れる。
「貴様……日本の魔術師か!」
「もう勝負はついたんだけどな?外の奴ら、砂嵐の中で何人か殺したら好き勝手にレーザー撃ちまくって自滅したぜ?」
「まさか……!」
「まさかじゃねーよ。ちゃんと目の前見ろよ。もうこの船は沈む。あとは大将のお前が死ぬのを確認して終わりだぜ?」
「グッ!“ユニオンジャック”!」
「“無刀流・黄砂”!」
巨大なユニオンジャックと砂の刀がぶつかり合う。
「連絡通り、来てる奴らは皆RANK4ぐらいかもな?」
旗は折れ、バンデットは船を後にする。
先ほどからずっとスマホがうるさく震えている。
「はぁ……絶対これ撃たせてんじゃねーよ!って奴だろ?」
――ピピピピピピ!
「はぁ……帰りたくねぇ……。」
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