ep30 称号適応
激昂したゲンデイールは身体強化と銀によって生み出された翼を利用した攻撃が主体。
その上銀に触れれば触れた場所から皮膚を突き破って串刺しにされる。
「同じ称号持ち……RANK5同士でこんなに違うもんかよ!?」
他の称号持ちプレイヤーはここまで理不尽ではないはずだ。
アルアの物量で押しつぶすような攻撃の雨も。
ペンツァーの空気すら足場に加速して蹴り込んでいくのも。
シスターの状態異常の交換も。
バンデットの砂による制圧も。
コジロウの手堅い戦い方も。
ベヘリの暗殺染みた奇襲も。
シェリアの鎖と強化された身体能力も。
あえて理不尽なのは誰かと言えばやはりキャンディナのもつテレポートくらいだろうか。
「いいや、まて……。」
「待たんぞ!シネェェェェェ!」
ゲンデイールの踏み込みに合わせて後ろに跳び躱す。
「あぶねっ!……そもそも前回のイベントの時ベヘリとシェリアは俺に“理不尽”を感じていた……まさか?」
RANK5には明確な“相性差”があるだけだと思っていた。
“サイコメトリー”を持つ自分が“テレポート”と“インファイト”によるラッシュに弱いように、物量で攻めるアルアが比較的自分に有利なように。
「違うのか……?まさかRANK5には強さに……“格”のようなものがあるのか?」
だとすれば今目の前にいるゲンデイールは間違いなく強者側だ。
自分が知っているRANK5の中に、ゲンデイールに有利を取れるものがいただろうか?
いないのだ。
バンデットやコジロウのフィールドを塗り替える力も目の前の男にとってはほとんど意味がないはずだ。
なぜならあの男は銀を操っているだけで周囲が銀に侵されるのは副次的な効果でしかないのだから。
称号そのものに“格”があるのか、それとも……。
「だとすれば……なんだ!?どうすれば俺は強くなれる!?」
【銀纏星将】ゲンデイールにあって【響界独神】ショコレータ・ショコランティエに無いものとはいったい……。
「ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……よくしゃべる男だ!」
ゲンデイールは苛立ちを隠さず、その強靭な足により天高く跳躍した。
――ダン!
「“銀星将来”!」
落下するゲンデイールを包み込むように銀が球体となり、段々とその大きさを増していく。
それはやがて空を覆いつくす巨大な星となり、重力に従って落下する。
「そうだ、俺は勘違いしていたんだ。俺に足りなかったものは!」
RANK5になったときのアナウンス。
【称号を受け入れますか?】
そう、称号を受け入れることがRANK5の条件だった。
だがそれは“受け入れただけ”ともとれるのだ。
「そうだろ!?俺は称号を受け入れた!なら、称号に沿った“進化”が無いといけなかったはずだよな!」
銀星が落ちる。
その質量は確実にショコレータの命を奪うものだった。
瞬間移動も、防御能力も何もないショコレータには。
【称号【響界独神】に適応しました】
【肉体が変化します】
【魔法を再定義、再構築します】
【すべてのAスキルを忘却しました】
【すべてのPスキルを忘却しました】
【Pスキル”
【Pスキル“唯我独尊”《ゆいがどくそん》を覚えました】
【Aスキル”神の手”を覚えました】
【Aスキル“
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