ep31 その真価
銀星が落下する。
その衝撃はデビル・フロント全域を揺らすほどの大きな衝撃と轟音をもたらすはずのものだった。
「“俺に触れるな”!」
その星が落ちる場所に、ショコレータは立っている。
当たれば即死する銀星を受け止めるそぶりも見せずにただ一言叫んだのだった。
――ゴォォォォォォン!
轟音。
そして巨大な銀星は再び一か所へ集まっていく。
そこに立つのはただ一人。
【銀纏星将】ゲンデイール。
ただ一人のはずだった。
「……貴様、何をした?」
「安心するがいい、ちゃんとお前の“銀星将来”は発動した。」
「ならばなぜ生きている!《銀翼槍》!」
翼を槍へと変化させて再び接敵するゲンデイール。
「“神の手”。」
スキルの発動と共にショコレータの傍に巨大な腕が出現する。
完全な透明でありながら、そこに“ある”ことがわかる。
何もないはずなのに異常なプレッシャーを放つその両腕。
「ゆけ。」
一言そう命じた途端、ゲンデイールの突撃は止まる。
銀翼がバキバキとその形を歪めていく。
「……これは!まさか……まさかぁ!」
「そう、そのまさかだ。俺は自分の称号に“適応”した。もう以前の俺とは違うぞ?」
称号への適応。
それはつまり、自身の完成と言える。
魔術師の到達点。
「これは俺もちょっと予想外だったな。称号ってのはこんな……いや、今はただ、この力になれないとな。」
「まさかこの土壇場に称号へ適応するとは……だが!」
――ズオォォォォォォ!
周囲の地面を削り取るように銀が波となって大地を覆う。
「今目覚めた程度の力で俺に勝てるものかよ!」
「そうか?“神”に“星”が勝てるかよ!?」
「所詮“神”だろう!?神は死んだが星は死なん!」
「“お前を押しつぶす者は誰だ?”」
「はあ?」
――ダァン!
突如、ゲンデイールを衝撃が襲う。
「“そう、俺だ。俺がお前を踏み潰す。”」
「これは……!?」
“ストンプ”が発生した。
しかも、いつものような牽制程度の力ではなく、その威力は“バレットパレット”による弾丸と同レベルの威力があった。
踏み潰すような衝撃をゲンデイールに叩き込んだ張本人は楽しそうに笑う。
「ハハッ……こういうパワーアップは楽しいなぁ!」
「厄介な!」
「だったらもしかしてこういうのもいけんのか?“ストンプ”!」
再び“ストンプ”が発動する。
ゲンデイールは回避するように大きく動くことが“わかる”からそれを見越して範囲を広めに発動する。
「おいおい、これじゃあ俺の勝ちじゃないか!」
「「“銀翼槍”」」
声が重なる。
ゲンデイールは驚愕した表情でそれを見る。
ショコレータはそれを愉快そうに笑って走る。
両者の背には銀でできた翼が槍のように尖り、正面に突き出される。
「同じ技なら練度の差が物をいうのは当然だろう!?」
ゲンデイールの銀翼槍がショコレータに触れそうになる。
「“俺に触れるな下郎!”」
銀翼槍が逸れる。
「なんだと!?」
「俺の勝ちだ!」
二本の槍がゲンデイールを地面に縫い付ける。
そしてショコレータが空中へ跳ぶ。
――ダッ!
「“銀星将来”!……うわ!?ひでえ消費!」
落下するショコレータを包み込むように銀が球体となり、段々とその大きさを増していく。
それはやがて空を覆いつくす巨大な星となり、重力に従って落下する。
「貴様……貴様ァ!?」
「ありがとよゲンデイール!おかげで俺が……俺が!」
轟音と共にそのアナウンスが勝利を告げる。
【SUB STORY QUEST】
【絶望抱く高潔の称号】
【EXPERT LOOT】
【EVENT BOSS BATTLE】
【禁断の愛を求めたもの】
【【銀纏星将】ゲンデイール】
【BATTLE ENDED】
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