ep28 争いは誰かのために起こるのだ
メダリオンをずぶずぶと取り込んだオブジェがアナウンスと共にその姿を変えていく。
その銀は白く、彼の者を守るように鎧となって白く輝く。
その銀は白く、彼の者を支えるように翼となって白く輝く。
その銀は白く、彼の者の敵を討つために剣となって白く輝く。
「【銀纏星将】ゲンデイール。だよな?」
その白き将軍は口を開く。
「確かに、俺の名はゲンデイールだ。お前がメンデール家を滅ぼしたのか?」
そう話しながらも彼の白銀は大地を侵食していく。
「あぁ、そうだ。……お前はこれからどうするつもりだ?」
「そうだな……俺はインセールを探すよ。もう死んでしまったらしいが、墓くらいは作ってやらないといけないからな。」
そう言うゲンデイールは愁いを帯びた目で空を見上げた。
「なるほどな。……そうだよな。」
「ん?あぁ、わざわざ俺を起こしたんだから何かしたいことがあったんだろう?少しくらいは付き合ってやってもいいが……。」
ショコレータは一つ、ここで覚悟を決めた。
その決定的な一言を口にすることを。
この穏やかな将を怒らせる一言を。
「俺が殺した。……俺が殺したインセールと言う天族についてお前はどう思う?」
――ズオォォォォォォ!
地面を侵食していた銀が大きく波打つ。
ブルブルと震える水面がゲンデイールの怒りを示す。
「貴様がインセールを……!」
だがそこまで言ったゲンデイールはすぐに落ち着いた。
「いや、ありえん話だな。俺を怒らせるためにインセールの名を調べた手腕は認めるが、インセールはもう何百年も前に死んでいるのだからな。ただの魔術師にそんな力はあるまい?」
「おいおい、俺はもう言ったからな。“バレットパレット”。」
弾丸を浮かべる。
ゲンデイールはそれだけで、こちらの戦意をくみ取って己も戦闘に入る準備をする。
「“銀翼槍”……“銀纏武神”!」
ゲンデイールの背に生えた翼が槍となり、ゲンデイールの体に纏わりついた銀がその姿を分厚い鎧へと変えていく。
「腰の剣は抜かないのか?んん?」
ショコレータが腰の剣に視線を向ける。
プロモテウスの持っていた剣。
「これは武器ではないからな……!」
――ドゥン!ドゥン!
「なに!?」
たった二発の弾丸で銀の翼を吹き飛ばす。
「……チッ。やっぱりだめか。」
吹き飛んだ銀の翼がすぐに周囲に撒き散らかした銀で補修される。
「……本当に戦うつもりらしいな。」
「俺が欲しいのはその剣なんでな!“ストンプ”」
「この剣だけは渡せんのだ!」
ゲンデイールの周囲の銀をストンプによって散らしていく。
それを見てゲンデイールはすぐさま接近しての肉弾戦を挑みに来る。
「触れば死ぬぞ!」
「知ってるよぉ!」
銀に触れればその触れた場所から銀が肉体の内部へ侵食し敵を殺す。
そういうものだとわかっているからこそ、自分の周囲には銀が溜まらないように移動しながら、時にはストンプで散らしながら戦わなければならない。
「ハハッ!流石は【銀纏星将】!即死だらけの弾幕ゲーかよ!」
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