ep24 ドレインリンク

二人の少女の前に立つ悪意の権化。

勝利を確信している、というよりも自身の敗北が考えられないと言った様子の男。


「ん。まぁ、わかっちゃいたことだがな?」


「ヴィクトリカ姉さま!」


両腕を白い糸で包んだヴィクトリカが襲い掛かるもその顔面をショコレータが蹴り飛ばす。


「単純な格闘戦で勝てると思っているあたり、あんまり実戦はしてないのか?」


「ぐっ!」


「まぁ、そうだよな?お前たちは二人そろってあのミスティにも及ばないんだからな。」


「姉さま!“ソニックウェイブ”!」


ダスティの白い糸に覆われた右手から斬撃が飛んでくるのがわかる。


「無駄だぜ?」


当然一歩横に歩いてそれを躱す。


「速度もない、意表もつけない、そして何よりただ弱い。これならミスティの方がまだげんきでよろしい!って評価だな。」


ショコレータが倒れ伏すヴィクトリカへと近づき、弾丸を浮かべる。


「これでまずは一人……!」


――ガブッ!


ヴィクトリカの目の前にショコレータの足が見えたことでショコレータの足首へとヴィクトリカが噛みつく。


「チッ!」


「“ドレインリンク”!」


ヴィクトリカの口元が赤く光る。


「どういうスキルだよ!」


――ガッ!


ショコレータが噛みつかれた右足に力を籠め、体を支えて左足で思いっきりヴィクトリカを蹴る。


「その男はこちらの考えていることを読み取る力を持ってます!姉さんはディナーの事だけ思い出していて!」


「ミスティ・メンデール……!」


今まで壁に体を預けて意識を失っていたミスティが叫んだ。


「ダスティ、ミスティ……今晩のディナーはステーキだったわ。目の前の男を倒したらディナーの続きをしましょう。」


「ヴィクトリカ姉さま……ステーキ切ってね?」


「フフ……ダスティはまだステーキを綺麗に切れないものね。」


「おいおい……ディナーの話題で誤魔化したいくらいさっきのスキルはつええのかよ。」


3人を視界に入れ、“サイコメトリー”に意識を割くも全くスキルの情報が来ない。


「……いや、そもそもそういう事かよ!」


ミスティの脇腹がチラリと見えたがそこには傷が無かった。

つまりミスティは叫ぶ前にスキルを使用したか、何らかのスキルによってその傷を治したのだ。


「“ドレイン”なんて名前のスキルが回復じゃないわけねぇ!俺のPOWERを奪ってミスティに分けたな!?」


「お姉様方、目の前の男は間違いなく強敵です。私も“白纏紡身”有りで圧倒されましたし、こちらの思考も読んでくる。とにかく手数を稼いで反撃のスキを与えないようにしましょう!」


「ミスティの“白纏紡身”でも……ならそれしかないわ!」


「ヴィクトリカ姉さま、ミスティ……勝てるかな……?」


「ダスティ、勝てるかな、じゃダメなの。」


ヴィクトリカとミスティの声が重なる。


「「勝つのよ!」」


「おいおい……これじゃあ俺が悪役みたいじゃねぇか?俺はどっちかって言えば主人公なんだけどな?」


改めて、3姉妹との戦いが加速していく。

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