ep21 称号とは
先に動いたのはミスティだった。
「“
ミスティの体が白く染まっていく。
白い糸によって覆われていくその体はまるで花嫁衣裳のような清廉さを感じさせる。
「これがメンデール家3女としての私の誇り!」
「「お前のような下等な猿にはもったいない力だ!」」
「「なに!?」」
ミスティの叫びが途中から二重に重なって公園に響く。
「“サイコメトリー”。これが俺の力だ。」
「「思考を読まれた!?だがその程度で肉体の差は埋められない!」」
「「真似をするな!」」
動揺しながらも接近しようと踏みだすミスティを侮蔑の目で見下すショコレータ。
「……こんなものか。」
ミスティの攻撃はただのパンチだった。
いや、パンチと言ってもその威力は砲弾のような衝撃を持っている。
兵器と呼んでもいいくらいの威力がある攻撃ではあった。
「だがしかし、所詮は雑魚。格が違う。」
呆れた呟きはミスティの耳に届いただろう。
その顔は驚愕に目を見開き、今もまだ触れたままの拳が震え、怯えている。
「な……なぜ……?」
息をのむ音が聞こえるほどに、ミスティの視線はぶれ、拳を突き出した間抜けな格好のまま固まってしまっていた。
「何故かって?称号持ちを過小評価していないか?お前のRANK……いいや、文字通り”格”が違うのだ。しょうがないだろう?」
――ダッ!
慌てて後ろに跳び下がるミスティに言葉を投げかける。
「これ、なーんだ?」
ショコレータの手の中には一本のカギ。
ミスティが固まっている間に本人ですら気付かないうちに懐から奪い取ったもの。
「……それは!」
「「我が家のカギ!」」
「だよねぇ?」
愉しそうに笑いながらショコレータは続ける。
「これでもうお前と戦う理由はねぇわけだ。」
「「まずい!返せ!」」
再び肉薄するミスティ。
狙いは手の中のカギ。
しかしそのカギは天高く投げられ、わずかな光を反射するそれにミスティの視線は釘付けになってしまった。
――ドン!
「戦いの最中によそ見はダメだぜ?」
いつの間に展開していたのか。
宙に浮かぶ弾丸の一つがミスティの脇腹を貫いていた。
「さ、お前のおうちまで案内してもらおうか。」
ショコレータを見つめるミスティの目は恐怖に震え、ただただ頷くことしかできなかった。
【SUB STORY QUEST】
【絶望抱く高潔の称号】
【EVENT BOSS BATTLE】
【天狙う強欲の悪魔】
【ミスティ・メンデール】
【BATTLE ENDED】
「おっと、ボクもそのホームパーティについていってもいいかな?」
いつからそこに居たのか。
公園の隅から歩いてやってきたのはクラン“チョコレート☆キャンディ”のアルアだった。
「お前ももっと早く出てくればよかったのに。」
「だってボクもサブクエ終わらせたかったし。クリアしそうな人についていくのは一つの手として有効でしょ?」
「まぁ、いいけどな。」
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