ep20 天狙う強欲の悪魔

目を開き、夢の世界から戻るともう夕暮れ時だった。


「……なるほどな。」


しかし思考はクリアだった。

欲しかった情報は手に入った。


「ゲンデイールを目覚めさせる方法の発見。それがこのサブクエストのクリア条件だとすれば……。」


ゲンデイールが何故指輪を持ち帰ったのか。

それは【金壁八双】プロモテウスの形見だったからだ。

おそらくインセールと言う一人の女を取り合っていた二人は決闘の末ゲンデイールが勝利して終わった。

ゲンデイールはその形見の品である剣と指輪を持ち帰った。


「指輪を表向きの“遺産”にして剣を懐に入れた奴がいる。」


そもそもの話では部下が小箱に入った指輪を持ち帰ったという。

メンデール家に残された話がおかしいのだ。

そんな思い入れのあるものを部下に渡したなんて考えられない。


「だとすれば……。」


おそらくゲンデイールはメンデール家に裏切られたのだ。

そしてこの墓に封じられた。


「剣がどんな力を秘めていたかは知らないが……おそらくメンデール家はその剣を欲しがったんだ。そしてゲンデイールは何らかの方法で封印された。」


この銀のオブジェも本当にゲンデイールの力によるものなのか?


「敵はメンデール家にあり。そういうことだよな?」


本当にそうか?

何かを見落としていないか?

そんな思考に耽っているうちに、その女は現れた。


「まだ、こんなところに居るなんて……クソ猿は所詮クソ猿……処分されるまで己の無能さを理解できませんか。」


メンデール家の第3女。

ミスティ・メンデール。


「あぁ、やっぱりそういう感じで来てくれた方が気分もいいってもんだな?」


虚飾に塗れ善人ぶった少女を演じる姿の何倍もいい。

鋭い眼光も、むき出しにした犬歯も。

いきり立つように掲げられた尻尾も。

その全てが彼女の本質を示しているようで心地がいい。


「下等な種族の……猿が!おとなしくその指輪を処分しておけばよかったものを!」


「あぁ、悪いな。ゲンデイールには俺もちょっとした縁があってね……敢えて言うなら“友人”ってやつだ。それなら俺が言いたいこともわかるだろ?」


友人なんてものではない。

ゲンデイールの愛した相手を殺した男だ。

だがこの言葉がメンデール家にとっての逆鱗であることはもうわかっている。


「そう、ゲンデイールの友人……なるほど。だったら狙いは“天族の持つ剣”ってわけだ。アレを利用すれば何でもできるというのに、馬鹿な男には馬鹿な友人がいたもんだ。」


「その馬鹿な友人が友人のよしみで剣を狙うお前らメンデール家を潰してやるって言ってんだ!」


【SUB STORY QUEST】


【絶望抱く高潔の称号】


【EVENT BOSS BATTLE】


【天狙う強欲の悪魔】


【ミスティ・メンデール】


【BATTLE START】


段々と暗くなる公園に、二人の戦いのきらめきが光る。


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